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ヨシタケさんのように寄り添って

絵本作家のヨシタケシンスケさん。
最初に作品に出会ったのか、ほぼ日で紹介されたときか、もう思い出せないけれど、出会ってからはずっと大好きな作家さん。

絵本に描かれる、気づいていないだけで体験していたような、既視感のある光景を初めて可視化されたような感覚と、目からウロコの新しい視点に魅せられていく感覚と、あ~これ忘れてしまっていたなぁと思い出せる感覚。
それをいつもいろんなところから教えてくれるところが好き。

それと、ほぼ日の対談で語られていたヨシタケさんの人となり。

逃げつづけてきました。 - ほぼ日刊イトイ新聞
https://www.1101.com/yoshitake/index.htm

逃げる。
ああ、いいんだ、逃げても、と思えたところ。

それと、ヨシタケさんの絵本の絵が、実物はとても小さなサイズを拡大しているということも、すごくうれしかった。
隠れて描いていくうちに、大きなものが描けなかったというお話を読んで、これも「いいんだ」と思えた。

比べたりおんなじだ、なんて思うのがおこがましいとも思うけど。
自分も授業中に隠れてノートのすみっこに、ずーっと小さな文字であれこれ書いていたせいで、小さく書くのが自分標準になってしまって。
大きな文字でハキハキ書くのは今も苦手だし、メリハリのある大きな文字や声で主張できる人が【アリ】で、小さな自分は【なし】かなと思っていたから。

加えて、色もつけるのが苦手というところに、またまた共感。
色を選ぶのだけは勘どころがつかめない。

でも、それがうまくできる人がいて、分業してもいいわけで、全部じぶんがうまくできなくても、いいんだってことを……わかっていたかもしれないけど、ヨシタケさんを通してスゥーっとじぶんの中に入れることができて、それがとても大きかった。

昨年の自粛のさなか、NHKでやっていた「すごい宿題」を見た。

ヨシタケさんの好きなところに、新たな一面が増えた。

声が素敵。話し声がとってもすきになった。
ヨシタケさんの朗読テープがあったら、毎晩流したいくらい、すきな響く層の声の方だった。
話し方、話すスピードも心地がとてもよかった。
物腰がやわらかいというだけでは、ちょっとニュアンスが届かない気がするけど……
ヨシタケさんという人の佇まい、雰囲気、心地、人として感覚がとっても素敵だなと思った。

さらにこの番組で出されてる宿題が、またまたおもしろかった。
そしてつい先日、その宿題の提出されたものにコメントされたり宿題の意図をお話しされたりする回を見て、心の奥のほうがやらか~い気持ちになった。

すごい宿題は、ひみつをつくる、ことだった。
家族から隠れて自分だけにしかわからない絵を描いて、それを捨てる、というもので。
押し入れの中やソファの陰に隠れて描く子らの様子が紹介されていた。
小さな弟がいつも構ってくるからひとりになれないお兄ちゃんとか、なんだか見ていていろんな思い出やら知っている感覚が呼び起こされるようで、胸がいっぱいになってしまった。

ヨシタケさんがいう、
「じぶんで、じぶんがきもちよくなることを見つけること」

これを知っているかいないかは、本当に大きな意味があるなぁと思ったし、以前の自分はもっと知っていたはずなのに、今はけっこう忘れちゃったり失ってしまったりしているかも、とも思ったり。

宿題というよりもっと大きな課題のようでもあり、シンプルにシンプルに思い出したり新しく見つけたりして、きもちよくなることの引き出しを増やしたいなぁと考えた。

まだまだ鬱蒼とした森の中のトンネルにいる時間はつづくみたいだし、振り返るところにも来られていないみたいだから、一歩ずつおとなしく少しでも進めるような毎日でありますように。

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