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奈良タビ ー「正倉院展」を楽しむー

はじめに

奈良国立博物館では毎年秋に「正倉院展」を開催している。

私は、この「正倉院展」をメインイベントとした旅を11年前から毎年続けている。

「正倉院展」とは

正倉院とは、奈良東大寺の北西にある木造倉庫の事である。

752年に東大寺の大仏が完成したと歴史の授業で習うと思うが、倉庫って???
奈良時代では、中央・地方の諸官庁や寺院などで税収入や財産を収める倉庫を正倉と言った。正倉院とはそうした倉庫が複数存在する郡域を意味している。かつての日本には各地に正倉院が存在していたが、現存しているものは東大寺の正倉院のみである。この正倉院には、東大寺のゆかりの品がおよそ9,000点納められている。その内容は、大仏開眼会の品々、聖武天皇の遺愛品、薬物、東大寺運営にかかわる品々である。これらは国産品だけでなく、シルクロードを経て伝わった世界各地からの品もある。この品々は宝物として扱われており、宮内庁が保護・管理をしている。私はこの中で楽器や鏡、ガラス系の品が好きで、当時の、いや現代においても高度な技術で装飾されていることが素人目でもよくわかる。一言でいうと「キラキラ」しているのだ。そして、人の手を介して造られたことを想像すると涙が出そうになる。また繊維関係の品の中には、虫食いが無い保存状態がよいものがある。自分の服は管理を怠って虫食い穴を作ってしまうことがあるのに、今から約1,200年も前の布が完全な形で残っていることに感動するのだ。

奈良タビ

さて、私は「正倉院展」をメインイベントにして、その周辺をめぐるタビを「奈良タビ」と勝手に名付けている。そもそも「正倉院展」の存在を知ったのは今から14,5年前。友人が職場の社員旅行で「正倉院展」を訪れ、その魅力を語ってくれた。約1,200年前の宝物が見られるということで、古代史好きな私も是非行ってみたいと思い旅行したのが始まりである。「正倉院展」は毎年秋に開催されるのだが、その期間は2週間程度である。貴重な品をわずかな期間でしか拝見できないので、なんやかんやと理由をつけ、毎年通っている。そして、今年が12年目の「奈良タビ」となった。

毎年買っている目録(買い忘れた年もあるw)

このタビは、東京から新幹線で京都へ入り、京都からは近鉄に乗って奈良へ行くことが多い。期間は、長いときで2泊3日、短いときは日帰りである。2泊3日のときは、奈良公園周辺や平城宮跡エリア 、法隆寺がある斑鳩エリア等を巡る。またある時は、三重県の伊勢神宮や斎宮とセットにしてタビしたこともあった。日帰りの場合は、時間的に「正倉院展」のみとなってしまうのだが、余った時間は近鉄奈良駅かJR奈良駅周辺、または「ならまち」をショッピングして楽しむことにしている。

今年の奈良タビ

この奈良タビは一人で行く年もあれば、友人と行く年もある。今年は先の「正倉院展」の魅力を教えてくれた友人と一緒にタビをした。1泊2日のタビである。1日目は友人からのリクエストによって大阪を楽しんだ。なんばグランド花月のよしもと新喜劇を観覧後、なんばの街ブラをした。2日目は、近鉄特急「あおによし」に乗って奈良へ入った。「あおによし」は、正倉院宝物をモチーフとした天平模様の列車で贅沢な造りになっている。列車は、大阪難波駅を出ると比較的にすぐに住宅街に入り、どこにでもあるような景色が続く。そこで私たちは列車内の豪華なデザインをあれこれ鑑賞し、売店ではグッズを買った。もう間もなく到着するだろうと思った頃、いきなりドーンと車窓から平城宮跡の門を間近に見ることができた。わずか40分の乗車時間だったが、私たちは「正倉院展」に向かうまでの間、気分をノリノリにしてくれたのだった。

友人はこの列車を外からも中からも激写していた。私も列車がホームに入線する様子を動画に撮ったがこれが下手くそすぎて、イマイチこの列車の良さを納めることができなかった。ショック。

正倉院展の魅力

今年の目玉はこちら

そのなかで私のお気に入りは「琵琶」だった。

楽器は毎年必ず出陳され、今年は琵琶だった。過去に出陳された琵琶と何がどう違うのかの記憶をたどる。「楓蘇芳染螺鈿槽琵琶」はパッと見た目は地味なのだが、裏面がキレイなのだ。アワビの貝を使って花模様を施している。「正倉院展」は1か月前くらいからWEBサイト上で主な出陳物の情報が公開されるので、事前に必ずチェックしている。そして、過去に購入した目録でも確認する。例えば琵琶が気になれば、過去の目録の琵琶が載っているページをみるのだ。そうすると、過去にはもっと地味な琵琶があったとか、貝の装飾が今回は珍しい(一般的にはヤコウガイ)とか、色々と発見があって面白いのだ。こうした予習を経て、会場でじっくりと鑑賞すると、さらに感動が倍増する。

「紫檀小架 」は、過去の第64回にも出陳された品だ。こちらも予習で過去の目録の解説文を読んでおく。現地では「また会えたね」と心のなかで呟く。帰ってきてからは、今回買った目録と読み比べをしてみる。これがいい。


来年もきっと過去の「正倉院展」を振り返りながら、新しい「正倉院展」を楽しむだろう。何度行っても飽きない旅が続くと思うと、もう来年の「奈良タビ」が楽しみだ。

#わたしの旅行記

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