筋トレの真実について思うこと

 大学時代、「いい体になってモテたい」という一念から、筋トレの世界に足を踏み入れて30年以上。

 長く続けては来ましたが、全然納得できる体にはなれないし、しょぼい重量しか挙がらない。ここ10年くらい(40代半ばすぎてから)は、老化の影響で使う重量も下がる一方だし、努力しても体は弛んでいくばかり(泣)。胸の筋肉の張りとか、若いころのように維持できないんですよね。

 そういう、やる気の無くなる状況ばかり続くんですが、でも、辞めずに続けていられるのは、あることに気づいたから。筋トレは、素質の差が大きくて、他人と比べてもしょうがない、ってことです。

 素質については、以下のサイトが分かりやすいです。

 この記事には、2005年に行われた585名の被験者を対象にした、12週間のトレーニング実施の結果の論文のことが紹介されています。その結果というのが驚くべきもので、「個々の効果をみると、筋力ではまったく効果のないもの(0%)から250%の増加を示すものまで認められ、筋肥大においても55%の増大を示すものもいれば、減少(-2.5%)してしまうなど、トレーニング結果には多くのバラツキが認められ」た、というものです。

 これ、あまりに残酷な結果でしょう。筋トレって、まったく効果無い人もいれば、たった2週間で筋力は倍以上、筋量は50%以上伸びる人もいるんです。

 この結果、自分の経験にも合致してます。ジムで見てると、何年やってもガリガリのままの人もいれば、あっという間にマッチョになる人がいるんです。前者の人は、面白くないので大抵、辞めてしまいます。

 もう一つ、この点についてきちんと指摘してる動画があります。以下の動画です。

 この動画、佐賀県で長年ボディビルジムを経営されているというジムオーナーさんの動画なんですが、以下のことを指摘されています。

① トレーニング初心者は、ベンチプレスで言うと、40㎏位から停滞する人が出始め、50~60㎏あたりで多くの人が停滞する。それが当たり前。ごく普通。

② Youtubeなどでベンチの公開をしてる人は、100㎏、150㎏を当たり前のように挙げる人ばかりだが、このような人は、実はごくまれな「才能に恵まれた人」で、本人も実は、自信があるから動画をアップしてる。

③ 50~60㎏で停滞してる人が、こういう動画を見ると自信を無くし辞めてしまう人が多いけど、人と比べるのはおかしい。人それぞれなので、ごく一部の才能に恵まれた人と比べず、自分のペースで続けることが大切だし、得られるものは大きい。

 実は、自分の知っている限りでは、ジム関係者で、こういう「正直」なことをいう人は、とても珍しいです。この動画のジムオーナーの方は、とても良い情報を世間に提供していると思います。本当に、この方の言う通りで、自分も含めた「平凡な日本人」だと、100㎏のベンチなんて、そうそう簡単に挙がらないんです。何年かかっても、無理な人は無理、だし。

 かく言う自分も、ベンチ100㎏は、恥ずかしながら、トレーニング初めて10年以上かかって、20代後半~30代前半の時期に一時期挙がるようになっただけで、40代中ごろからはどんどん記録が落ちて、今じゃ80㎏も多分無理、と思います。本当に、弱いんです。

 老化と筋トレについては、また別の機会に書いてみたいと思うんですが、とにかく、この残酷なまでの個人差についての具体的な情報って、ネット上にも本当に少ない。「頑張ればそのうち強くなる」とか、「諦めたらそこで終わり」とか、「自分なりに頑張ればいい」とか、抽象的な努力論がほとんど。

 これから高齢化する日本国民にとって、筋トレの普及は、厚生労働省がマジメに考えるべき重要課題と思うんですが、そのためには、こういう「残酷な個人差」について、きちんと説明しておくべきと思うんですよね。今の筋トレ関係者は、上記の記事や動画みたいな、ごく少数の良心的な方以外は、この真実を隠蔽している(あるいは、積極的には説明していない)、と思います。「頑張れば報われる」という情報だけ流していた方が、プロテイン等のサプリメントが売りやすいからじゃないか、と思います。しかし、そうやって甘い言葉で誘ってチョットだけ筋トレかじらせても、Youtubeで「才能あふれる人」の動画見て比較して絶望して、辞めていく人が多いんじゃないかって、そう思います。そういう商売のやり方って、筋トレ嫌いを増やすだけで、結局、筋トレの普及につながらないと思うんですけどね。

 自分も、今でもやっぱり、「才能あふれる人」とどうしても比べてしまって、劣等感に苛まれることもしょっちゅうあります。そういう人のことが、うらやましくてしょうがなくて、自分の才能の無さを神に呪いたくなることも多いです。映画「アマデウス」のサリエリみたいに。

 でも、上記のようなサイトで、「残酷なまでの個人差」についての真実を知ることで、辛うじて、筋トレを続けていることができています。

 「いつかはYoutubeレベルのゴリマッチョになれるはず」という、偽りの希望にすがり、最後は投げやりになり怨嗟と劣等感から筋トレを辞めてしまうよりは、「自分のレベルはそこそこであるが、そのそこそこに至ることもまた、それなりに良きことであると、受け入れるしかない」という、辛い現実を認めた方が、結局は前に進める、継続できるのじゃないかと、自分はそう思います。







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