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志田一穂さんと大林千茱萸さんのトークイベント 隣町珈琲

昨日の隣町珈琲での映画イベントは素晴らしかった。まさに志田さんと千茱萸さんと、観客と千茱萸さん曰く「ここに来ていると思う」の言葉通り大林監督がその場にいたように思った。志田さんの喋りは原稿もなく2時間続く。志田さんと千茱萸さんの掛け合いに大林家との付き合いの長さや深さを思う。それは、志田さんが若かりし頃、情熱だけで監督にたどり着いたからこそできたきずななのだ。貴重な映像、画像を見せていただき、あっという間の2時間だった。


2018年秋だったと記憶している。関わっていた蒲田映画祭のゲストが大林宣彦監督だった。ご病気の監督が本当にいらっしゃれるのかもわからないなか、春から計画を練っていく。大変失礼なことだが、万が一があったらどうするかも考慮しながら進めていくのはそれなりに大変だった。
当日、大田産業プラザPiOの4階には、大林監督作品のポスターや秘蔵品だけでなく、会期中に上映される他の映画関連のものが飾られていた。なぜこれだけのものが集まるかというと、素晴らしいコレクターの人と繋がりがあったからだ。


監督の講演・映画上映のかなり前の時間から来ていた若い大学生二人がいた。真剣にポスターを眺める。思わず私は声をかけてしまった。
「大林監督がお好きですか」
「はい大好きなのです。地元にきてくれるなんて嘘みたいで」
「一応蒲田は撮影所もありましたからね」
そんな話をした。大学4年生で就職も決まっているという話もしたように思う。比較的高齢の観客が多い映画祭だったから、彼らの存在が心に残った。


そして講演が始まる。広い会場を監督は車椅子に乗り移動された。傍には奥様の恭子さんがいつもついていらした。壇上に昇るのもおぼつかなく、何人かの男性が手を貸した。よろとろと上がり一度椅子に座ると会場から大きな拍手。私は一番後ろでメモをとりながら拝見していた。
すると監督がいきなり立ち上がった。え、大丈夫?という気持ちで思わず私も立ち上がってしまう。



監督は、ここに来た理由、「蒲田が映画の故郷なんだ」というような話を約20分にわたり話された。20分立っていらっしゃることが奇跡に思えた。
そして
「私は今立っている間に皆さんの顔をすべて見ました。若い方が来てくれていて嬉しい。なので、そろそろ座らせていただきます」
そういって座った。そこから約1時間半、インタビュアーは大変有名な編集者だった。彼は山ほどの原稿を用意していたが、それを使うことがないほど、監督は一人話を続けてくれた。長い話を観客のだれもが飽きることはなかったはすだ。終わった時大きな拍手が鳴り止まなかった。

その後に160分の映画『この空の花 長岡花火物語』の上映が控えていた。
私たち運営は押した時間を気にしながらも、休憩時間を挟むことに。するとその休憩時間に監督が車椅子でロビーに出て、ご自身のポスターを見始めたのだ。


私は運営という立場も忘れ、会場内に走ってもどった。あの大学生二人を探した。
「ちょっと来て!」
強引に手を引くように、二人を監督のところへ連れて行った。あとで怒られてもいいやそんな気持ちだった。運営の重鎮の方が監督のお相手をするところを割り込み
「監督、こちら監督の大ファンの大学生なんです。早くから来て展示もみてくれていました」
と話しかけた。自分のどこにそんな勇気があったの不思議なくらい。


監督は
「今日は有難う。これからもたくさん映画を観てください」
といい、二人と固く握手をしてくれた。
二人がどれだけ嬉しそうだったか今でも覚えている。
これが私にとって映画祭で一番印象にのこるシーンだった。

話はもどり、志田さんのトークショー。終わりを迎えると、隣に座っていた息子が
「いやぁすごかった、参った。おれ、ほとんど作品知らないけれど素晴らしかった」
と紅潮していた。
若い人に刺さる何かを発信できるというのは、とても素晴らしく大切なことなのだと心からおもった。まさに監督が蒲田映画祭の舞台で「若い人がこの会場にたくさんいて嬉しい」という言葉に通じた気がした。
人が捌けたころ、息子は志田さんに話しかけ(お会いするのは2回目、そういう時私は聞かないようにしている。こういう時息子の世界を私は邪魔しない)、ただ最後二人がしっかりと握手する瞬間は見ることができた。
それが、大学生と監督の握手に重なり、「こういう大人がいて、若い人はがんばっていけるのだ」と心底思った。


志田さんのイベントは隣町だけでなくさまざまなところで開催されます。
またシェアしていきます。ますは隣町に繋いでくれた4TR(レディオね)主催のイベントのフライヤーを貼ります。隣町は来月18日に!

(寝る前にFacebook用に急ぎ書き、起きて朝ごはん前にすこしだけ肉付けした。
たくさん誤字やへんな言い回しがるかと。あとで手をいれます。朝ごはんだ)