「腰掛2年の若造に何が出来るんだってみんな思ってるよ」

何日かに一回、うまくWi-Fiが繋がらないのでスマホから打つ。

さて、そんなこんなで学校の先生になった俺は、一年目の1ヶ月が過ぎたくらいの頃に、一つの決定的な出来事が起こる。当時、特に始めたばかりの頃全く使い物にならなかった俺は、給食の時間すらうまく捌けなかったので、隣のクラスの先生が見回りに来て代わりに手伝ってくれた。今思ったら、まぁそりゃそうするな俺でも、ともおもうのだけど、なにぶん、「スーパー先生現る」みたいな登場の仕方をしてしまっていたので、向こうとしては、呆気にとられた風景なのだと思う。
俺は研修で、システムシンキングやレゾナントスピーチなる、スピーチの方法を学んだ。21世期スキルなるものが必要なんだと言って、それらしいことをたくさん学んだ。でも脳裏にあるのは、「学校の先生ってどんなことすんねやろな」ということだった。1日のルーティンがわからない。これで行って大丈夫なんだろうか、という考えがわりと何度も頭をよぎった。そして案の定全く大丈夫でなかったのである。全然大丈夫じゃなかった。ひどいものだった、控えめに言っても。そこで決定的な出来事が起こる。
正直なんの集まりだったかは思い出せないのだけど、職場の先生方と一緒に飲みに行くような機会があった。そしてその内容も覚えてないのだけど、決定的な出来事というのはその飲み会の後に起こった。同じ学年を持つ学年主任と、帰り道二人になった。そしてあーだこーだと話してるところで、「腰掛2年の若僧に何が出来るんだってみんな思ってるよ」と言ってくれた。道のちょうど交差点のところだった。それはかなり辛辣な、かつまとを得たフィードバックだった。そしてそれを話してくれたことを皮切りに、ぶっちゃけ、皆さんに煙たがられてることもわかってるし、自分が全然できないこともわかっています、という話をした。その上で、子どもたちのこと考えたら教えてもらうしかないんで、申し訳ないけど色々教えてください、と言った。俺のことが気に食わないのはしょうがない。逆の立場だったら総スカンしてると思う。でも、なってしまった以上やるしかない。なので、なんもわかってないけどお願いします、と言った。
そこから、いろんなことが変わった。「謎のスーパー先生らしき人」は普通の新人の先生、に変わった。何もできないわかってない若者が一人増えただけなんだということがわかった。団体のメンツ的にどうなんだ、ということはもちろんあるけど、当時の最も真実に近い形になった。そしてそこから打ち解け始め、ようやっと人間同士のコミュニケーションが取れるようになってきたのだった。

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