
NFLのファンでいる。
2016年、コリン・キャパニックと、エリック・リードという選手が国歌演奏中に片膝をついた。
人種差別に対する、平和的抗議だった。
そのシーズンを最後に、キャパニックはリーグを追われた。
2020年のシーズンがはじまった。
NFLコミッショナーは、人種差別への平和的抗議に対して沈黙したことを「間違いだった」と認めた。
キャパニックは32歳、アスリートが、20代後半から30代に差し掛かる4年という時間を、選手として過ごすことができなかった苦しみは考えを絶するけれど、少なくとも、キャパニックの正しさのうちいくつかは証明された。
もう、元の名前は言う必要がないと思うけれど、ワシントン・フットボール・チームという仮名称のままのチームがシーズンに入った。
セインツの、ドリュー・ブリーズというスター選手の失言に対して、チームメイトのマイケル・トーマスが批判をした。
ブリーズは間違いを認めて謝罪した。
「Lift every voice and sing」は世界でもあまりないくらい美しい歌だ。
チーフスとテキサンズの開幕戦、その曲が流れる間、テキサンズの選手はベンチに残った。
国家と国旗を前に、キャパニックと同じように片膝をついたアレックス・オカフォーへの支持をNFLコミッショナーが表明した。
アローヘッド・スタジアムのビジョンには「WE MUST END RACISM」と映し出されていた。
開幕戦のオープニングセレモニーで両チームの選手が腕を組む、客席からブーイングが起こった。
プレーオフでは、6人の女性コーチが並び立った。
そのうちのひとり、ジェニファー・キングはランニングバック・コーチに昇格した。
今シーズンのフィールドのエンド・ゾーンの縁と、選手のヘルメットには「END RACISM」と明記された。
歴史が始まってから、あり続けた間違いを、NFLは常に正そうとしている。
人種差別と性差別とあらゆる差別は、無知と無教養がもたらす明確な間違いで、明確な間違いは正さない限り、多くの人が不当に苦しむことになる。
もし間違えたり、当然のように存在しつづけた間違いに気づいたら、学習をして、間違いを認めて、正していけばいいだけの当たり前のことなのだけれど、多くの社会やコミュニティは今もあまりにも多くの間違いを含んで、それを正さずにいる。
NFLのフィールドと、そのサイドラインに立つ全ての人を尊敬している。
NFLの差別抗議に関わる全ての人を尊敬している。
その人たちは、構造や伝統よりも重要なことを知っている。
コリン・キャパニックはまだフィールドに戻っていない。
今も、コリン・キャパニックがフィールドに戻ることを楽しみにしている。
明日の朝起きたら、スーパーボウル。
バッカニアーズのブレイディはすごいだろうけど、チーフスはすごい。
チーフス、勝つといいな。
NAOYA OHKAWA
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