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Plumeria

目が覚めて窓辺を見て、そのラインの美しさに息をのんだ。
それは、昨日届いた、プルメリアのシルエットだった。

子供達が成長していく。
それを記憶に留めたく、今夏、南の島を訊ねた。
そこで咲いていた花の香りにやられた。
朝、まだ誰も起きていない庭に咲く花を撮る。

上海に帰り、ふとネットでその花を調べてみた。
プルメリアという名前だった。

その香りは、忘れてしまった大切な記憶を象徴している。
季節を繰り返し、年月を重ねる間に
私は何を得て、何を忘れたのだろうかと思った。

落葉樹のプルメリアは、窓の外の気温が下がると、
その葉を一枚、また一枚と落としていった。

私は、春を想った。
この美しい植物はまた春に、旺盛に葉を茂らせ、
優しく切ない香りの花を咲かせるのだろうか。
そして、その時私は、何かを思い出すのだろうか。







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