ねえ、これからどこに行くの?
知らなかった。
気付けば足元の砂が波に流されて、
覚束ない中空で途方に暮れていた。
17年住んだ上海を離れ、日本に帰る事にした。
機内、離陸直前に娘がふと振り向いた。
新たな暮らしと、非日常的展開に素直に興奮している、
その瞳の奥から、聴こえない声がする。
「 ねえ、私たち、これからどこに行くの? 」
私は、あいまいに目をつぶって
その声をやり過ごそうとする。
答えは、今、手元にない。
ねえ、神様、私たちは
どこに行けばいいのですか?
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