リアルの世界の大切さ

卒業以来40年近く続いてきた高校同窓生の集まりが途切れる。毎年正月2日の夜に、名古屋・栄付近の居酒屋で開いてきた。当初は陸上部の仲間で。会を重ねるごとに気の合う同窓を誘って輪が広がった。東海地方に住む仲間が半分以上だが、私のように就職で外に出て、帰省して参加する者も多い。だから正月2日の開催。両親を亡くしてからは、この為だけに名古屋に向かう。正月なのにと不満げなかみさんに見送られつつ。

その集まりが、コロナのせいで途切れる。新年は皆が還暦を迎えるのでひとつの区切りではあったのだが、医療関係者も多いので仕方ない。このところ幹事を務めてきた私としては、残念だかこれで一件落着。久しぶりに、正月をゆっくり過ごそうかと思っていた。

ところがである。Zoomなる便利な道具があるから、これで集まろうという声が、誰からともなく上がり、それなら海外勤務中のあいつも誘おうと盛り上がっている。私も仕事では毎日のようにウェブ会議を使うし、長らく会ってない友と話したい気持ちはある。しかし、大人数のZoom飲みはどうも気が進まない。

リアルな飲み会だと、参加者から一言というコーナーはあっても、あとは周囲に座った仲間や、気の合う連中と好きなように話せばいい。しかしZoomではみんながそれをやったら収拾がつかなくなるから、間合いを計りながら交代で話す。この間合いがなかなか難しい。しかも、誰かが話している間は全員がそれを聞いているから、舞台に上がって話すようなもので、無駄なことは言えない。一部にだけしか通じない話題もだめ、ましてやヒソヒソ話しも不可。と制約が実に多く、結局時候の挨拶みたいなつまらない話しになってしまう。

気の合う数人の仲間でやれば、まだいいのだが、十人を超えるともうだめだ。だから参加の返事をできずにいる。そうこうしているうちに、同じことを考えているのか、あいつとあいつだけでやろうという分派行動のお誘いまで来る。どうしようか? 本当に困ったものだ。

ということで、リアル飲み会の良さを改めて実感した。何か共通のゴールがあって、そこに向かうような集まりなら、ウェブ会議もいいのだが。

普段はそんな生活ばかりしているから、たまにはゴールは設けず、彷徨ってみたい。たまに旅に出たくなるのと同じである。

皆さま、よいお年をお迎えください。


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