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残酷すぎる成功法則 中編

前編では学校の成績が良いエリートが成功するのか、について紹介をした。今回は①人柄について、②諦めないこと or 見切ることどちらが大切か、本の内容とともに振り返ってみたいと思う。

① 人柄について (いい人は成功できない?)

いい人過ぎて成功できない、正直者が馬鹿をみる、など必ずしもいい人が成功するとは限らないことは良く耳にすると思う。周りを見渡すと嫌な奴だけどモテる、偉そうな態度だけど目立つためかいい仕事を任さる、など自分では納得したくない現象が起きた経験があると思う。

では本当にいい人は損をし、ひいてはつまらない人間になり下がってしまうのだろうか。結論として書かれているのは、基本的にいい人であることは大事だが、相手が裏切ってきたらやり返すことも有効(しっぺ返し戦略)だということ(それでも許すとさらに有効であることもふれられている)。また、置かれている環境にもよることは、そもそも論として認識する必要があろう。

本によると世界で最も不幸せな国であるモルドバでは、誰しもが他人に対して不信感を抱いている社会だという。そのようななかで基本的にいい人であり続けるのは不可能なので、まわりの環境に応じることも大事なのだ。ただ、日本社会にいる君は一旦そのことは頭の片隅に追いやろう。

いい人というのも漠然としているので、他人に対して与える人と奪う人とで見比べたとき、どのような結果だったのか見てみよう。成功という尺度で見ると、最下位にいたひとの多くはギバー(与える人)であったという。マッチャー(与えることと、受けとることのバランスをとろうとするタイプ)と、テイカー(与えるより多くを受けとろうとするタイプ)は中間に位置したようだ。では、最も成功している勝者にはどのタイプがいたのだろうか。

答えはギバー(与える人)だった。いつも他者を助けることを優先している人びとは、敗者ばかりでなく、勝者のほうにも多く登場していたようだ。

上述でしっぺ返し戦略という言葉が出てきたが、これは信頼と裏切りのゲーム『囚人のジレンマ』において、その戦略が一番勝率が良かったというものだ。その戦略とは、始めは相手に協力し、その後は前回相手が選んだ選択を真似し続けるというものだ。前回相手が裏切ったなら、今回自分も裏切るという単純なプログラム。これから学べることは、裏切ったり、悪い行動は短期的には良い結果になることもあり得るが、長期的な視点では協調、協力したほうが良いということ。

さらにこのしっぺ返し戦略がより勝率を上げれるようになったのは、邪悪な要素を足したのではなく、補強したのは善の要素、寛容さだったそうだ。たまに裏切られた後でも許し、協力する態度を示すとさらに効果が上がったようだ。協力的、寛容であるからこそ、ほかのプレイヤーたちにとっても対応がしやすく、それでいて必要とあらば報復も辞さない点が勝率を上げた要因だったようだ。

やはり基本姿勢は、まずギバー(与える人)でありつつ、悲しいかな裏切られた場合には(何度か許してもなお)、きつい倍返しをみまうということでいいのだと思う。いい人そうと言われたら、まず笑顔でありがとうと返せばいいのだ。ただ、もしそのトーンのなかに見下した感じが含まれていたら、ありがとうの後に、でも僕だってひどい仕打ちをする奴に対しては、非情になることもあるよ、と言えばいいのだと思う。


② 諦めないこと or 見切ることどちらが大切か

成功する要素としてよく耳にするのは努力や、諦めない心だと思う。最近では持って生まれた才能よりも、『グリット』(何かに懸命に打ち込み、決して諦めずに最後までやり通す力)こそが成功への鍵だと言われている。当然ながら多くの場合それは正しい。では、そのやり抜く力はどのように培われるのだろうか。

どんな困難にも乗り越える人に必ず共通する習性として、ポジティブな心のつぶやきがあったそうだ。またそれは、自分自身に語りかけるストーリーとも言われ、そのストーリーは真実でなくても構わない場合も多いようだ。では、どうやって自分なりのストーリーを見つけるか?とてもシンプルな方法として、自分の死について考えることがあげられている。

人間の美徳を『履歴書向きの美徳』と『追悼文向きの美徳』の二つに分けて考えてみる(アメリカっぽい表現だけど)。資産や昇進といった『履歴書向きの美徳』ついては、普段から努力していると思う。しかしながら、それはほっといても普段考えるので、じっくり腰を据えて『追悼文向きの美徳』について、考える方が良さそうだ。

自分が死んだとき、葬儀ににはどのような人たちが来てくれ、その時に何と言ってもらいたいだろうか。それを考えることが、すなわち自分が本当になりたい人間に思いをはせることになる。今の僕はひとつだけ何を言われたいかを思いついた。それは、『人生を楽しんでいたね、楽しそうな人生だったね』と言われたい、ということ。もちろん、偉大なことを成し遂げた人だったとか、この人のおかげで私は救われたとか、他にも言われたい言葉は思い浮かぶ。ただ、まだまだそれらはじっくり考えてみたいと思う。そして、人生を楽しむことを芯に据えたとき、どうやって楽しもうかという前向きな姿勢がうまれてきた。

険しいアンデス山脈を登頂し、下山している最中にクレバスに落下、骨折してパートナーともはぐれた人の話が書かれてあった。ご察しの通り生還することができたのだが、極限状態を支えたものとは何だったのか。

答えはゲームに見立てる、ということだった。今の僕にはこれが一番腑に落ちた。人生を楽しむのに、ゲームをしている感覚を盛り込むというのは、馬鹿げているようで、実は非常に効果があるように思われる。例えば、これまで修行僧のような気持ちで筋トレしていたが、ゲームをしている感覚でやると非常に楽しいし、ブログも楽しんでやれている(たぶん儲けようと思ってやっても続きにくいかな)。また、勉強においても発揮できると思う。

本では面白いゲームの要件として、WNGFが共通した事項だと書かれている。(以下の頭文字をとったものだ。)

1、勝てること(Winnable)
2、斬新であること(Novel)
3、目標(Goals)
4、フィードバック(Feedback)

さて、とはいえ何でもかんでもゲーム感覚で取り組めばいいというものでもない。ここで出てくるのは、『グリット』に足を引っ張られてしまうのはどのような場合だろうか、ということ。見切ることも大切なのか?

わかりやすい例えでいうと、40歳過ぎてからプロサッカー選手になりたいなど、達成不可能なことに力を注いでも意味なく徒労に終わってしまう。たいていの場合は多くのことをやろうとするよりも、何をやらないかを考えたほうがうまくいくという。ただそうやって、見切りをつけまくったら何も残らないのではないかと不安になるだろう。

本には、成績優秀な大学生が突如中国にカンフー修行にでかけた話が書かれてあった。結果的にその学生は、カンフー修行で素晴らしい経験をした後、アメリカに帰国、復学して無事大学を卒業するのだが、その後その経験をもとに書いた本が売れ、作家としてのキャリアに繋がったという。

結局のところ、いつ諦めていつ続ければいいのだろうか。もし今、自分がやり遂げるべき目標がまだわからなければ、答えを見つけるために、まずたくさんのことを試してみればいい。もしそのほとんどを後に棄てるとわかっていてもだ。そして、何か興味の焦点が見つかったら、学び続け、成長し続けるために、自分の時間の5~10%を小さな試みに当てよう。こうすることが、試すこと、諦めること双方の利点を最もいかせる方法だ。実際に著名な人の多くは趣味を持ち、その趣味が本業にも良い影響を与えた例が多いという。ユーチューブは出会い系サイトとしてスタートし、エロ動画を見たいために出来上がったのが今のシステムだ。グーグルは図書館の蔵書検索サービスから始まったのだ。

②のまとめ

1 自分が粘り強く取り組みたいことが見つかっているか?
→ ノーの場合、まず多くのことにチャレンジしてみよう

2 あなたは楽観主義的か?
→ ノーの場合、自分に思いやりをもってあげよう

3 あなたは有意義なストーリーを持っているか?
→ ノーの場合、自分の葬式でどのように言われたいか、じっくり考えてみよう

4 生活や仕事にゲームの要素を取り入れているか?
→ ノーの場合、WNGFを思い出してみよう

5 何にでもグリットを持って粘り強く取り組む人へ。あなたは自分の時間とエネルギーは有限だと認識しているだろうか?
→ ノーの場合、普段の生活を見直してみよう(勝ちが低いものを捨ててみよう)

6 目標達成まであと一歩。小さな賭けをいくつか試みただろうか?
→ ノーの場合、失敗を恐れず、多くのことを試してみよう

今日は以上。

ではまた。




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