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Hasselblad 503CXとCFVII 50Cで撮影してみました

みなさん、こんにちは。先日ひさびさにCFVII-50Cを持ち出して撮影する機会がありましたので、こちらのエントリで書き残しておきたいと思います。

はじめに

2023年05月に、旅行に行く機会がありました。旅行時にHasselbladを持参する。しかも今回持参したのはCFVII-50Cを取り付けたHasselblad 503CXです。念のため、X1DII-50Cも持参しているのですが、それでもこの2台のカメラを持って旅行しにいくというのは、かなり珍しい部類かもしれません。

上記の機材のほか、さらに万一動作しなかったときのことを考えて、Sonyのミラーレス一眼カメラまでバックアップで持参しようとしました・・・が、それは荷物のキャパオーバーとなり、断念。

本来なら、Sonyのミラーレス一眼カメラで旅行に行くものだろうと思うかも知れませんが、やはりでかけた先の景色を最高な形で収めたい。そう思ったからこそ、Hasselbladを選択してしまったわけです。

行き先について

今回足を運んだのは、静岡県伊東市にある大室山という所です。今回は電車で伊東駅まで向かい、そこからバスで大室山へ移動。そこからリフトを使って山を登ることにしました。

リフトに乗る時も撮影はしていました。ただ、リフトで揺れる中でアナログカメラのピントをあわせての撮影は厳しい・・・ということで、その際はX1DII-50Cを使って撮影したのですが、今回はCFVII-50Cのカットをご紹介します。

撮影画像について

作例その1

Camera: Hasselblad Hasselblad 503CX
Lens: Planar T* CFE 80mm f2.8
Develop: Phocus v3.7.4

山頂は遊歩道が整備されていて、山頂を1周約30分かけて歩くことができます。全方位、見渡す限りの絶景でして、伊東の町並みや山の数々など存分に楽しむことができます。この日は快晴とまでは行きませんでしたが、とても良い景観を楽しめました。(日差しを遮るものがないので、日焼け止めが必須ですね!)

上記の写真では、山頂を約半周ほど歩き、リフトの乗り場が見える場所まで移動して撮影しました。今回503CXを使って撮影しましたが、ファインダー越しに景色を見て、そこから構図を決め、絞りを決め、ピントを合わせて撮影するという一連の行動を、とても楽しく行えました。

作例その2

Camera: Hasselblad Hasselblad 503CX
Lens: Planar T* CFE 80mm f2.8
Develop: Phocus v3.7.4

山頂を歩き、あと少しで一周する・・・というタイミングでのカットです。先程の写真を撮るあたりまでは坂を登る、という感じでしたが、このあたりになると坂を下る流れでして、足も軽いです。実は山腹部にはアーチェリーのアクティビティの提供もあったのですが、今回はそこまで挑戦はせず。

この日は若干雲の多い一日でしたが、快晴の場合はかなり遠くの景色まで見れるそうで、機会があればもう一度足を運びたい所です。

Hasselblad 50x系+CFVを使う時の注意

ここからは503CX+CFVII-50Cで撮影するにあたって、気をつけたい点などを書き残しておきます。

フォーカシングスクリーンについて

CFVII-50Cには付属品としてフォーカシングスクリーンが用意されています。このスクリーンは撮影する時の画像の枠が書かれており、枠の内側が撮影範囲を示しています。Hasselbladのカメラは基本6×6(60×60mm)ですが、デジタルバックは6×4.5(44×33mm)フォーマットになります※。
※機種により48×36mmや、60×45mmの製品もありますのでご注意を。

そのため、既存のファインダーでは映らない部分も多くあるわけです。それを補正するために、専用のスクリーンを入れ替える必要があります。とはいえ、見える範囲の話なので、撮影画像を見て構図を変える、でも良いのですが。やはりどの部分が映るかを意識して撮影することは(当たり前ですが)大事なわけです。

CFVデジタルバックの設定

続いて、カメラの設定です。これは比較的簡単でして、CFVデジタルバックのカメラ設定を「500」に変えておく必要があります。今回503CXを持ち出したのは、ファインダー越しの撮影がしたい点と、トラブルをなるべく避けるという2点に集約されます。本当は203FEを・・・と思ったのですが、電源周りの準備もありましたので、今回は503CXを選択。

Hasselbladのレンズはいくつかあるのですが、503CXにつけるとなると、80mmしか選択肢がなかったのですが、結果的にはカメラ自体もコンパクトにまとまりました。そしてカメラ自体もアナログ接続な点もあり、動作的にも何のトラブルもありませんでした。

ライブビューについて

X1DII-50Cを使っていると、ライブビューの恩恵をとても感じるのですが、オールドカメラに取り付けて撮影する際には、少々手間を要します。一例としてミラーアップしないと画像確認ができないという点を挙げておきます。アナログカメラなので当然ではあるのですが・・・。この場合は三脚などの準備が必須ですね。

Phocus(現像ソフト)でのレンズ補正

これは撮影後の話になりますが、画像をPCに転送してもカメラ情報がインプットされないと思います。これもアナログカメラなので当然なのですが、あれ?と思ってしまうかもしれません。

Phocusには、これまで歴代のHasselbladレンズの補正データが入っています。X1DII-50CやHシリーズのカメラであれば、何もせずともレンズ補正データの適用ができますが、アナログカメラの場合は自分でデータをインプットすることでレンズ補正が使えます。

具体的には、レンズ情報や絞り、焦点距離を入力する必要があります。私の場合、F値などは概ね決めて撮影するので、それは良いのですが・・・焦点距離などは少々戸惑うことがあります。今回の作例では無限大などわかりやすいのですが、接写やポートレート等の場合は、距離感で戸惑うかもしれません。撮影前にピントを合わせているので、その時に距離をできるだけ意識しておき、データ取り込み時(覚えている間)に一気に入力してみました。

ちなみに、Lightroomでも現像は可能です。オンラインでスマホやタブレットからも細かな編集が行えるのが良いですね。私は現像はPhocusを使いますが、ストレージとしてLightroomを使い、まずはいつでもどこでも画像セレクトできる状態を作ってしまいます。そこから必要な画像(RAWデータ)をダウンロードして編集する流れを取ります。

最後に

今回は久々にオールドカメラを外に持ち出して撮影した写真を紹介しました。CFVII-50Cは往来のHasselbladに取り付けることで細心のデジタルカメラとして生まれ変わらせることができます。現代のデジタル画像と比べると画像に独特の空気感が生まれて、とても感慨深い画像を得られます。

何より、ファインダー越しに構図を合わせる、ピント合わせを行う、絞りを決めてシャッターを切るという撮影の手順をしっかり組んで撮影できるのでとても充実感が得られるカメラだと思います。

シャッターボタンを半押しするとピントや露出が合って撮影できる現代のカメラとは異なり、手間と思うことも多々あるかもしれませんが、こうした一連の動作を愉しめるカメラは稀な存在ではないかな、と改めて感じさせられました。


大学を卒業後、約15年間写真スタジオ、写真機材販売、北欧カメラメーカーの日本法人立ち上げなど行う。その後ITベンチャーにてマーケティング業務に従事しながら大学院に通いMBAを取得。現在もスタートアップ企業にて奔走中。