GRMNヤリスの記事へのコメントへの返信

ITmedia ビジネスオンラインに書いた記事「トヨタはプレミアムビジネスというものが全く分かっていない(後編)」についたコメントについて。


いや今回はかなり笑い話系です。「トヨタは今回の件でプレミアム販売というものをもうちょっと考えたらどうよ」というテーマの記事でありました。当のトヨタはだいぶ興味津々で、ちょっと話を聞かせてくれと言っております(笑)。まあそれはそれで良いのですが、このコメント。あのねぇ(笑)。


なんで、チラシ作って糊口を凌いでいるらしいビンボーな我々と同じ側の池田センセが、アルピナ界隈とかプレミアムブランド戦略に詳しいのだろう?(。・ω・。)

いや確かに貧乏人ですし、何も間違っちゃいないんですが、そんなにはっきり言わなくてもいいじゃないですか? 愛はないのか?(笑)。

というかまあ、愛があってのコメントなのは分かっておりますよ。あちこちに書いている記事とか、このnoteとかをちゃんと全部読んでないと池田の貧乏生活のことなんて知らないのでねぇ。

はい。ではその辺りに何で詳しいのか? そりゃ22歳で入社した出版社がネコ・パブリッシングという妙な会社で、そこで、取材対象である日本の自動車趣味の頂点の方々の遊び方を散々指を咥えて見ていたからです。

ボクらの知っている世界では、クルマってのは正規ディラーで新車を買うのが上級国民。個人売買で中古を買うのが平民ですが、本当の本物の上級国民は、専門のブローカーを使ってクルマを探させる様な人達なのであります。

そして、普通のルートでは出て来ないスゴいクルマが「27億円なら売ると言ってます」みたいな話で売買されておるわけですよ。その世界では、車種が何だということではもう無いのです。それが仮にフェラーリの250GTOであろうが、アストンマーチンのDB4GTザガートであろうが、アルファロメオ・ティーポ33ストラダーレだろうが、ヒストリーの無いクルマは並品。特にフェラーリはそれが顕著なんですけどね。

いやまあ普通に言って狂っているわけですよ。シャシーナンバー××番は、初代オーナーが何とか公国の皇太子で、お雇いのレーサーがどこそこのレースで勝ったとか、誰それがワークストライバーになった時に、エンツォ本人からプレゼントされたクルマだとか。そういうヒストリー付きのクルマじゃないとエラくない世界ってのがこの世にはあるのです。

あ、ディーラーで新車ったって、そこも奥深いです。フェラーリなんて上顧客用に毎年オフィシャルイヤーブックを作って世界中の特別な客に配るわけですが、そこに取材されて掲載されるのとかもプレミアムサービスです。もちろん量産モデルを買ったって鼻もひっかけられませんし、歴代スペシャルモデルを全部買った客の中で、さらに色々絞られて客の特権です。

で、そういうクルマが集まるイベントとかに、うっかり現行モデルのV8フェラーリとかでやってくると「あ、あっちのフェンスの外にダートの駐車場があるので、そちらをご利用ください」みたいな世界になるのであります。あ、別にV8じゃなくて12気筒でも現行モデルや最近のモデルだと扱いはそんなには変わらないです、はい。

そしてそういう世界の価値感を変に知ってしまうと、こうなんと言いますか自分の自動車趣味的には深い諦めの境地に辿り着くのであります。宝くじで1等前後賞が当たったって全然足りない世界の話なんでもうね。

あ、オレは大人しくOHVの一番「らしかった時代」のケータハム乗っていようみたいな。その先の階段を上り始めても絶対頂上には辿り着かないしと。

で、まあそういう人達から色んな話を聞くわけですよ。「456GTとか買う気は無かったんだけど、まあ付き合いってのもあるしね」みたいな話。要するにスペシャルモデルを買える身分を維持するためにはそういうどっちでも良いクルマを買って営業担当を助けてあげるみたいなのがあって、だからスペシャルモデルが出る時は絶対的に最優先されたりするわけです。だってたまにマセラティとかまで買ってくれとか言われるわけですからねぇ。

その辺貧乏人には分かりにくいのですが、欲しくも無いクルマとかじゃないのですよ。なんですかね。いわゆる飲み屋の女の子の「あたしも1杯いただいていいかしら?」みたいなヤツです。本当にどっちでも良い。「あんたも商売で大変だよな」みたいな感じ。金持ちはわがままなんで、嫌なものなら買いませんから。貧乏人の池田的にはすでに飲み屋のそういうのが嫌いだったりするくらい。まあそもそも飲酒の習慣がないので、慣れてないのもあるかも知れませんけどね。

あるいは、いずれコレクションのアレを譲ってもらいたいなんて思っている個人が、なんかどうでも良いクルマを売りに出す時とかにも、ご縁を作るために欲しくもないのに買ったりするわけですよ。「いやフルレストアでビカビカに仕上げちゃった73のカレラRSとか興味無いんだよねぇ。これがオリジナルコンディションのヤツならまだしもさ」みたいな、こっちが生涯を掛けても買えないくらいの究極の1台を、それも綿引自動車で塗った様なヤツをそう言われる瞬間の切なさみたいなものは多分ご理解いただけると思うのですよ。憧れが無残に打ち壊されると言いましょうかね。

で、まあそういう界隈の人達の欲望とか見栄とか、打算とかが渦巻くクルマの世界ってのを門前で覗いちまったわけですよ、極めて不幸なことに。そんなわけで実体験は欠片もありませんが、むしろケースだけは大量に見ているのであります。

ということで、まあ割と悲しい物語ではあるのかも知れません。でもまあ階段を上り始めてから知るよりずっと良かったですねぇ。


池田センセはHbA1cの値もプレミアムクラスなのです、失礼な。

あとこれ。こらこら。ちゃんと血液検査は毎月受けて、ほぼ全て正常値に戻しました。HbA1cも5.7です。LDLコレステロールだけが66で、これだけ一応新基準値に収まっているながら、ちと低いですけどね。

お気持ちの投げ銭場所です。払っても良いなという人だけ、ご無理のない範囲でお使いください。