有料版noteと書籍プロジェクトのご報告

noteプロジェクトと書籍プロジェクトが始動しています。動き始めている2つのプロジェクトの中間報告です。

ひとつは月額定額制(多分税込1100円)の有料版noteマガジン。経緯を説明すると、実は出発点は日経ビジネス電子版でした。去年の決算記事を掲載した時、日経の担当編集から「来年からは有料クローズ記事にすると編集長からキツいお達しが出ています」と言われました。自分で言うのは口はばったいですが、これ読まれるコンテンツなんですね。まあ高評価の結果ではあります。で、日経に限らずもう無料ページを読ませてビューから入る広告収入だけではペイしなくなったと。まあ背景にグーグルが儲け過ぎで、媒体が分前をちゃんと受け取れない問題があるわけです。

これは日経に限らず、もういろんな媒体が直面している問題で、流れは2つに分かれています。記事を有料化してプレミアム会員だけに読ませる流れ、そしてもうひとつはそういう記事が書ける書き手のセミナーを始めさせて B to Bで稼ぐやり方。で、大変ありがたいことにボクには有料化とセミナーのリクエストが各媒体から一斉にやってきております。

ありがたいことではあるのですが、一方で大事なのは、自動車メーカー各社の決算記事については日本の主力産業であり、その通信簿たる決算をちゃんと分析する記事が広く多くの方に読まれることは、メディアの公器性の観点から大事なことだとも思うわけです。平たく言えばタダで大勢が読めることが大事な記事もあると。

他の記事はともかく、決算の記事を媒体の商売の都合でクローズにされ、多くの人が読めなくなるのは嫌だなと。日経ビジネス電子版とは、これを1年近くかけて交渉してきたのですが、向こうの意思は変わらないと。んじゃしょうがない、自分で無料公開するかと言うことで、今年から日本の自動車メーカーの決算記事は全部noteで無料公開することにしました。5月後半に無料で掲載を始めます。無料には多分1ヶ月とかの制限は付けると思いますけどね。

で、そうなるとボクは7社分の決算記事を短期集中で書くという1年を通してもかなり重い仕事をやっても、noteで無料公開ってことなので、媒体からの原稿料が入らないわけですから1円にもならないのであります。そして、決算記事は間違いがあっては困る記事なので、ウチの会社の税務をお願いしている公認会計士さんに査読をお願いしようと思うわけです。日経という専門性の高い媒体側のチェックが入らない分そういうチェックは必要ですからね。で、これは仕事なので些少ではありますが当然ギャラが発生します。公認会計士の先生はとても良い方で、かつ池田が儲かっていないことをよくよくご存知なので「いくらでもいいですよ」と言ってくれていますけどね。だから池田は記事を7本書いて、むしろ持ち出しで損をする構図になります。我ながらバカだなと思いますが、それはライフワークとしてすべきことだから仕方ないのです。

ただ霞を食って生きて行かれるわけじゃないので、有料クローズ版のnoteを6月からスタートして、こっちで利益をちゃんと出そうと。媒体が儲けるためにクローズして大幅に中抜きされるくらいなら、自分で有料版マガジンをやるわいという話であります。ボクの読者にあなた方がタカるのは無しだ。ということで、マガジンには週1で記事を書くので、こういう池田の活動を読者の善意に頼って、誠に申し訳ないが推し活として支えていただけないかという話であります。支えてもらう側が推し活と書くのはちょっと気が引けつつ、でもね。そうじゃないと「俺様の記事には価値があるから金払って当然」的スタンスになるので、そっちよりはマシかなと。あと何よりも正直な気持ちですし。まあそんな奇特な人は少なかったとしても、原稿料相当分のつもりなら1本あたり30人とか40人分なので、多分それくらいは支えてもらえるでしょう。

で、この有料noteも、ただボクが書いてボクが校正して載せるという安直なものにはできません。というかしたくないので、ちゃんと編集者をつけます。これは後半で出てくる書籍プロジェクトの編集B氏にお願いしております。で売り上げを分配すると。そういう設計です。

もうひとつのプロジェクトは、書籍の大量生産プロジェクトであります。ボクが過去に色んなところに書いた過去記事は全部で900本近くありまして、仮に1/3が時事性の高い記事だとしても、書籍化の対象となりそうな記事は600本はあることになります。過去の経験から言って、本1冊に収まるのは頑張って15本くらい。なので40冊分くらいの原材料コンテンツがあるということになるわけです。しかも媒体連載も終わるわけではないし、新たにnoteも続いていく、普通に考えて書籍には1本くらいは書き下ろしも入れるでしょうから、日々そのコンテンツは増えて行く。例えば2ヶ月に1冊出しても年に6冊なわけですから、向こう8年くらいは本を出し続けられることになります。

で、もちろん書籍の編集作業をやっていたらボクには新しい記事を書く暇がなくなってしまいます。だからこれまで出してこなかったのですが、あちこちのコメント欄にも書籍を出してくれと言うリクエストはありますし、未利用コンテンツをそのままにしておくのももったいないです。だから書籍制作チームを作りました。

まず編集者が2人。編集者Aはボクが「この人詳しい」と思うほどクルマに詳しく、さらにマーケティングとかにも精通した逸材。この人にボクの分身として、コンテンツを編んでもらうつもりです。どの記事とどの記事を組み合わせて、どういう本を作るか。ボクは池田は死んで、あなたが遺族だと思ってくださいと伝えてあります。手塚治虫と手塚るみ子みたいな関係。いわば指揮者としての編集者ですね。クルマで言えば商品企画とマーケティング担当に当たります。

で、もうひとりは書籍編集のエキスパート編集者B。実作業が確実で手が早く、かつ文学青年(現実にはボクと同じく老年)の素養がある信頼できる編集者。クルマで言えば生産技術担当です。編集者Aが企画を立て(当然そこにはチームの他メンバーも参加します)、骨子が決まったら編集者Bが制作作業に入る。その段階で編集者AはBの仕事をサポートしつつ、次の企画作業に入れる。だから量産が効くという寸法です。

で、これに加えて30年来の付き合いのデザイナーが加わります。ボクは昔いた会社のデザイン室長に本の作り方を教わったのです。というか編集は全員忙しくて何一つ教えてくれなかったから、見よう見まねで記事の要素を揃えてデザインに持って行くと、室長に怒られるわけですね。「お前こうじゃねぇだろ」とか、「確認しないで持ってくんな」とか「要素が足りない」とか。まあ今で言うOJTなわけですが、今回参加のデザイナーはその室長の弟子なので、おんなじ師匠に仕事を教わったから、意思伝達がしやすいのであります。ちなみに『スピリット・オブ・ロードスター』も彼のデザインです。

で、これに版元側の人も加わります。というかCAR and DRIVERの編集長ですね。お金の問題と販売を受け持ちます。

で、ボクは自分一人では着手できず、換金しようがない過去記事を書籍化してもらうわけですから、編集者AとB、デザイナーに印税の半分を提供して、適正な比率で分けてもらいます。

で、一番心配なのはボクのリソースです。これが走り出すと仕事量はこんな感じです。

■週1案件
・グーネットが2500w
・レスポンスメルマガが2000w
・noteが5000w
■月1案件
・CAR and DRIVERが7000w
・レスポンスが6000w
・ITmedia ビジネスオンライン(現在は隔週ですが月1に移行)が5000w(文字数半分でもOK)
・日経ビジネス電子版が5000W(担当から継続してと言われているので)
・隔月だとは思うけど、書籍用の書き下ろし

■不定期
・書籍シリーズの最終的な監修
・あとちょいちょい発注が来るベストカー
・たまに来るahead

■セミナー
・レスポンスのセミナーが月1回
・もう一社まだ未発表の案件
・その他たまに来る地方のサプライヤーや販社の講演依頼
・セミナーではないけれどグーネットの対談記事『プロト総研』

色々走るとそりゃきっとクルマくらい買えるようになるはずですが、全部できるのかなぁ。まあ五合升に一升は盛れないので、そこはできなきゃどれかを畳むしかないです。とりあえず走りながら考えるということで。なんとなくの目算としては、媒体掲載の無料記事が半分、残り半分が有料のクローズ記事って感じですかねぇ。

なのでリソース的には色々ギリギリではありますが、有料noteと書籍のシリーズが始まるよと。お楽しみにお待ちいただけたら幸いです。

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