EV化の前に絶対にやらねばならないこと

「半導体大手ルネサス 火災で停止の旭化成の工場分も代替生産へ」(NHKニュース)

これは重要なニュース。長らく「産業のコメ」と言われて来たにも関わらず、日本の半導体産業は、何故か国内生産を減らす方向にばかりシフトしてきた。

特にルネサスは、経産省主導で名だたる日本の半導体メーカーをひとつにまとめ「ドリームチームにするのだ」という触れ込みだったはずなのに、何故か国内では設計に専念し、生産は台湾へ譲渡するという奇妙な政策が採られた。単純化すれば、日本が多額の税金を投入して作った生産設備を二束三文に台湾メーカーに譲り渡してきたわけである。

おそらくはファブレス化を念頭においていたのだと思われるが、それは高度な先端半導体を作れる会社が台湾の「TSMC」と韓国の「サムソン」だけという業界地図を生んだ。日韓はご存知の通り厳しい状態で、政府全体としては頼み事が極めてし難い。規模的に見てもTSMCの方が大きいので、結局この期に及んでは、「産業のコメ」を世界のどこの会社に回すかは全部TSMCの腹ひとつ。「テスラとアップルへの供給を優先する」と言われている現状で、CASE対応で半導体へのニーズが高まる今、日本にコメは回って来ない。

というよりすでに、クルマを生産するための半導体すら供給が絞られ、日本の自動車メーカーが減産を余儀なくされるという非常事態に至っているわけである。何をやっているんだ経産省。怒りを禁じ得ない。

EV一本化を画策するのであれば、3つのことを絶対に先に達成しなければならない。第1にこの半導体の国産復帰。第2にバッテリーの国内増産。第3にインフラ電源のグリーン化。

これらの武器がなければ、自動車メーカーは世界と戦えない。そういう背景で半導体の国内生産が再開するのは、後手に回っているとは言うものの良い知らせだ。

次は何が何でもバッテリーの増産が必須だ。国内供給が不可能であれば、中国から輸入することになる線が濃厚だ。これからEVが増えて行った時、バッテリーは車両原価の40%を占める。仮に全額となれば、自動車産業15兆円のうち、実に6兆円が中国へ流出。550万人の雇用の40%、220万人が収入を失うようなことになれば、もう国が維持できない。

そんな未来を招かないためにも、ノーガードでのEV移行など絶対にあってはならない。必ず半導体、バッテリー、電源のグリーン化を先に成し遂げなくてはならない。

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