原稿のお供

原稿量産体制が結構長いこと続いておりまして、最近はあちこちで「池田さん仕事しすぎ、体に気をつけてくださいよ」とか言われるのですが、その言っている本人が、無理だって言っているにも関わらず今日の今日で原稿チェックとかのスケジュールをねじ込んできたりするので苦笑いな感じであります。

いくら原稿書きが好きでも、着手の間際にはストレスがあります。実は書き始めてしまうと没入して、本人も面白くなっちゃうので、割と一気呵成に書いちゃうんですけど、大作だとわかっているヤツほど、峠までの道のりの長さが想像できて、着手前に先延ばしにしたくなります。基本、書くのは速いので、グーネットの長さだと最短30分。標準1時間。ITmedia ビジネスオンラインで最短2時間、標準5時間。調べ物が必要なヤツとかはまた別ですが、頭に入っているものならまあ概ねですが半日1本。連続は無理ですが、ここぞというエマージェンシーモードに入った時は午前午後で1日2本ペース。頑張れば夜もやって3本くらい間に合わせられるのです。もちろんそんなペースは続きませんから、通常時の限度的に1日1本ですが、取材外出日もたくさんあるので、やっぱり標準的には週2本から3本をスタンダードにする感じですねえ。

実は池田は、「あの話をとっかかりにあれを軸にして」みたいな構想は、割と聞いた瞬間に出来上がってしまって、そこでうんうん唸るようなことは滅多に起きません。それと原稿の設計図みたいなものもまず作らないです。原則的には、冒頭の枕からコンティニュアスに書いていきます。

パーツパーツのエピソードも、出そうと思えばどんどん出てくるので、「あ、この辺でやめとかないと長さがヤバい」みたいなとこで自分と手打ちします。あ、「それであの長さなのか」という方はホント申し訳ないですが、自分の中ではあれは許容範囲なんです。たまに後からどうしても入れたいエピソードを思い出して追加すると、すごい長さになっちゃう場合があります。

そうそう、多分最初にこのテーマで書けるか書けないかってのはそのエピソードの「出そう度」によります。あんまりエピソードの在庫がない話は力技で捻り出さないとダメなんで体力消費が激しいし、無理やりになって面白くないから、エピソードの湧出量が多いかどうかは題材選びの重要なポイントになるんですね。

そういう意味ではあらゆるチャンスに、ボクにエピソードの種を捩じ込もうとするトヨタのやり方は正しいです。どのネタも湧出量豊富になるので、題材になりやすくなります。

あとね。ここは表現が難しいんですけど、ボクの原稿の書き方って多分デッサンに似ているんです。自分の中には文章としてコンテンツがあるわけではなくて、どっちかと言うと見聞きしたものの生データみたいなものが残っているんですね。グラデーションの階調の細かさが多分文字にできる限界より細かい。シート調整のラッチのステップに対してネジ調整みたいな階調差。だから文章を書いていくときはリアルな何かを線画に変えて、できるだけ元に近いものとして再現して行くみたいな感覚で書いています。

で、まあ話は元に戻ってストレスの話。ってことはここまでが枕のエピソードトークなわけで、こういうのがいくらでも出てくるのが、多分ボクの一番の強みみたいです。同業者に聞くとそこすごく苦労しているみたいなんで。

さて原稿書きのストレス解消に、イケナイと思いつつ何かをつい食うってのがあるんです。もうある種のクセというか何と言うか。せめてコンビニのスナックは止めたいと思って、最近は伝統銘菓系をよく取り寄せるようになりました。そんなことができるようになったのは、あちこちで原稿料を上げてもらったからではありますが。

で、コロナお籠もり時期であった数年前からデパートのお取り寄せをよく使っています。別に高級スイーツとかを買うわけじゃないので、実は値段は安いです。例えば満月の阿闍梨餅は10個1522円。亀谷陸奥の松風は48枚入り3500円。笹井屋のなが餅は11個入り1170円。総本家河道屋の蕎麦ほうるは2900円。ゆしま花月のかりんとうは594円。西川屋老舗の芋けんぴは594円。せんべいや喜八堂のざらめせんべいは680円。乃し梅本舗佐藤屋の梅しぐれは756円。紅葉屋本店の五家宝は432円。みすゞ飴本舗飯嶋商店のみすず飴は550円。高橋孫左衛門商店の翁飴は928円。そりゃコンビニのスナック類と比べたら高いですが、パティシエ某の何とやらみたいなものから比べたら束にして同額くらい。

こっち方面は知見が少ないので、まだまだ美味いものが出てきそうではあります。何かおすすめがありましたら教えてください。

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