【日記】徐脳硬直、徐脳固縮と抗重力筋について考える
運動指導に当たって、僕が一番重要視しているのは、クライアントや生徒さんが抗重力位であるかどうかです。
エイジングも、基本的には重力に負けた姿勢が典型だと考えています。
発達も、重力との適応であり、直立二足歩行という高度なバランス能力を必要とするヒトのロコモーションの獲得と考えています。
つまり、ヒトの姿勢や動きは重力下でいかにエネルギー効率が良いかということが命題であり、その破綻が障害であり老化と考えます。
ピラティスでは「エロンゲーション」という概念がそれにあたり、ヨガでは「真っ直ぐ座る」という瞑想が心身の歪みを無くす方法として強調されます。
結局は、同じヒトなので大切な概念は似たようなものになります。
抗重力でない動きは基本的に補完的な存在であって、中心的なトレーニングにはなり得ません。
腹筋を求心的に鍛えるとか、極端に反る練習とかは中心から逸脱するので、根源的な健康にはつながりません。
さて、中枢神経には、大脳皮質がありますが、脳幹もあります。
脳幹に中脳という部分が含まれ、姿勢制御や視覚、聴覚などに関与しています。
この中脳の障害で起こるものに異常姿勢があります。
これは徐脳硬直とか徐脳固縮として知られています。
ここで面白い気づきがあります。
徐脳硬直は中脳による抑制が解けた状態だということです。
つまりは普段は、伸展系の緊張は中枢によって抑制されているのです。
このシステムを考えると、伸展系は基本の身体システムであり、抑制してバランスをとって真ん中でいるということです。
ビックリすると体が反ると思いますが、それもやはり伸展系が基本だということだと思います。
エロンゲーションがなぜ大事かというと、重力下で生きる動物として、伸展系がなければ生きていけないのでしょう。
ここから腹筋が基本ではないということが理解できます。
体幹は腹筋よりも伸展筋が大事ということのまた一つ根拠ができました。
徐脳硬直は、抑制が絶たれて動物としての抗重力状態が顕在化した状態なのです。