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【症例提示】脚長差を補正する必要性

脚長差による弊害をクライアントさんを通して山ほど見てきた僕としては、とにかくこの事実を多くの方に知って欲しいと思います。

エビデンスを出すための研究の必要性は、痛いほどわかっていますが、とにかく研究は時間がかかるので、まずは症例を提示することでことの重要性を伝えたいと思います。

今回は、クライアント様のご好意で写真を公表してもいいということでここに症例として提示させていただきます。

【症例情報】

40代の女性の方です。

主訴;腰痛、肩こり、頭痛、疲れやすさ

脚長差は6ミリでした。

骨格特性やアライメントの特徴は、、、

・右肋骨背部の扁平化
・骨盤右挙上
・上半身右回旋偏位
・右肩下方回旋、左肩上方回旋
・右殿部外側筋緊張亢進

【写真提示】

補填前の歩きを見ると明確に左右の立脚の対応の違いが分かります。

T氏脚長差

長い方の右足に乗れていないですね。重心は左に傾き、骨盤が右にシフトしているのが分かりますね。それに伴って右の腰部には圧縮ストレスが生じています。

肋骨が右背部の扁平化と相関がありますね。

【補填後の変化】

以下補填前と補填後の比較になります。補填では左に6ミリの補高用インソールを使用しています。ちなみに運動療法は行っていません。補高のみです。

T氏脚長差

左の立脚が大きく変化したのでピックアップしました。骨盤が左にも動くようになって、ウエストの形が変わっているのが分かりますね。

骨盤が左に移動したということは、腰椎も動いているので、左側屈が起こっているということなります。

この骨盤の移動は、左足を設置するときの衝撃吸収が行われているということになります。補高前は脚は棒のようになっているので、衝撃吸収の働きはできません。衝撃はそのまま関節や靭帯にいくということになります。

補高で重要なのは衝撃吸収です。そしてその吸収の主役は筋肉です。

【運動療法】

これだけ左右差が大きいので、補高と同時に運動療法も必要です。

今回お勧めしたのは、①スクワットと、②スワットのポジションでの左右移動運動です。それをフォームローラーの上で行います。

当然、今まで左の殿筋は遠心性で使ったことがないので、プルプルです。数回の運動で脚が震えていました。左のみ。すごい差ですよね。でも、こうやって明確化するまでご本人の自覚はないのです。

そうやって体の歪みは進行していきます、、、。

こういうのが人間ドッグのような機会に普通に評価できるよになれば、本当に医療費は抑制できるし、運動に関するパフォーマンスも根性論ではなく理にかなったトレーニングに基づいたものになるはずですが、、、。

毎週このように、劇的に変化する方にお会いしています。もちろん自分で調べて、安くもないパーソナルレッスンを受けてくれるという意識の高い方というバイアスはありますが、本当に脚長差が原因の不調は多々あります。

ちなみにこの方のスポーツ歴はポートボール、バスケットボール、テニスですので、それらの時に左荷重だったというのが脚長差の原因でしょう。多くはスポーツから来ていると僕は考えています。

【臨床家のフラストレーション】

「なぜ多くの医療者はこの事実に気づいていないのか?」

一般の方は先に提示したような写真や変化を見れば、病院にいる理学療法士や医師がみんな当たり前に見てくれればいいのに?って思いますよね。でもほとんどの方は見てくれません。

なぜかというと、、、医療の中での常識と違うからです。

医療の中では、3センチ以下の脚長差は問題ないという常識があります。一般的に考えておかしいだろと突っ込みどころ満載ですが、それが医療の不思議なところで、文献が全てなので、問題があるという文献がないと常識にはなれないのです。

EBMで成り立つのが医療保険ですので、このような事実があっても研究がなければ存在しないことになっています。

じゃぁ「研究すればいいじゃないか?」と思いますよね。

でも研究ってとても時間とお金がかかるんです。僕もやりたいですが、仕事しないと食べていけないので、そのような時間とお金を割く余裕はありません。残念ながら、来店してくれるクライアントの方を救うのとこうやって記事を書くことがやっとです。

研究者は助成金や学生からの学費で研究だけをしていても食べていける人たちです。そのような方に、この事実を知ってもらって、上手に研究をして欲しいなと思っています。もちろんお手伝いはします。

でも、もうずっとことあるごとにそうアピールしてるのですが、中々そういう積極的な研究者っていないんですよね、、、。なので今僕は自分で研究できるように修士の勉強をしています。もう留年しそうですが、、、。

【仲間を増やすしかない】

なぜ僕が予防運動を啓蒙しているかというと、知らない方々がとても可哀想だからです。知っていれば予防できる疾患は山ほどあります。もうどうにもならない方が病院に行ってるのです。

または今回のケースの方のように痛いけれど普通に仕事はできているという方の場合、この程度では病院でレントゲンをとっても問題は出ないでしょう。歩きもここまで詳細に検査はしないので、「問題ない」、「骨はなんでもない」から湿布と痛み止めというその場しのぎで流されてしまいます。

理学療法が出されてもストレッチと筋トレで終わってしまいます。脚長差を見ないのです。

僕は20年を超える臨床家であって、研究家ではありません。これから研究者にもなろうとは思いますが、現場にいるから見えている事実なのです。例えば、学校の先生や研究しかしていない人には気づけない部分なのです。

また、臨床家であっても、予防の視点を持っていない人には見えません。空の雲を観察している人に、同じ空間に存在している地面は見えないのです。人が見ているものは焦点を当てている部分のみです。そういうものです。だから、同じ理学療法士でも見えているものは違います。しょうがないことです。

僕も予防の概念を持って臨床をするまではそうでした。気づかずに12年臨床で過ごしてました、、、。今思えば残念です。申し訳ないです。

僕一人では世の中を変えることはできません。だから、仲間を増やすしかありません。今僕は、僕の見えている事実、気づいていることをコンテンツにしてお伝えしています。

脚長差に関しては「脚の長さコーディネーター®︎」です。2021年の1月には僕が担当講師で講座を開催します。

また、このような予防的な概念を持った運動指導者を増やすために「予防運動アドバイザー」制度も実施しています。

また、このnoteでは予防運動サークルを作り、予防運動のためにお互いに情報交換や刺激し合いながら世の中を変えるべく繋がっています。

ぜひ、それぞれの立場で予防できることを探してみて下さい。まずは、一緒に脚長差問題を広げていただけたら、本当に嬉しいです。もちろん当店TAKT EIGHTにお越しいただいて、まずは「自分がどうかを確認したい。」ということもありだと思います。喜んでお待ちしています。

よろしければサポートをお願いします。私自身ではまだまだ微力です。当たり前の選択や情報を得ることができていない方々に、予防医学の視点で、知らなかったことで損した方を少しでも減らすよう、有益な情報を発信していきます。皆様の応援を励みに、より精進して行きます。応援ありがとうございます。