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ベーゴマ考13『加工学・1』

ベーゴマは、基本的にノーマル(加工していない状態)で使用しない。
子どもたち自身が、自分でどのようにしたら強くなるか、試行錯誤して加工しつつ、角づけなどの投げの技術もみがく。
それが勝利に繋がるのだ。

葛飾ベーゴマ3000個の寄贈者であるA氏によると、ベーゴマを販売していた駄菓子屋の横にはいつも持ち手がついたヤスリが売っていたそうだ。

先日の徳島をはじめ、多くの所で、コンクリートで後ろ削って尖らせたという証言も聞かれる。
ヤスリが手に入らないならはいらないで、
無いなりに工夫したのであろう。

葛飾コレクションから
加工例をピックアップしてみよう

ハリケツ①
ハリケツ②

①ハリケツ
ハリケツは昔の赤中や、ペチャにおおく見られる加工で、軸の中心だけ字の如く針のようにヤスリでテッペンを残すように削る。
驚く重心の正確さや、点のような加工もあり
最もベーシックかつ技量がいる加工方法である。
(現在の公式戦ではハリケツ加工は禁止)

さまざまな裏面削り

②裏面削り
現在もいちばん行われる加工

写真の中にも
八角のベーゴマを
8面で削ったもの
4面で削ったもの
テッペンだけ削ったものがみられる
そして、縁もたててあり、低い位置から突き上げるための加工がみられる。

多くは赤中の古い型(裏面にポッチが出てる)かペチャや厚ぺを加工してあるもので、
削られすぎて、もとの形状が判別不能である

丸削り

③丸削り
ベーゴマはバイガイをもとに作ったバイゴマからの変化であるため、丸型が当初の形で、それが桜ベイ、角六など初めから角がついたものに変化していった。
この写真は、逆に八画のもともとのものを丸く削ったものだ。
販売された既存の形では丸六や高王があるが、
考察するに、駄菓子屋などで販売されたものは
角が付いているものが多かったのだろう
※収蔵している数からの考察
そこで、持久力を高めた防御型ともいえる、この丸削りがうまれたと考える。

④変形削り
今も佐野べーにある、忍者べー(手裏剣型)は人気がある。
桜ベーが、花弁ごとにヤスリをいれて強さを誇ったように、元々の形からさまざまな形に変形させて、という工夫がみられる。
花びらのように細かく刻みをいれるもの
思い切って四角にしたものなどだ。
中でも特記したいのは
王様ベーと呼ばれる高王・中王・ペ王を加工して、赤中程度までサイズダウンしたものだ。
これをホンコの時にしれっと使うことで、
相手より肉厚なのでぶっ飛ばしてあいてのベーゴマをとるわけだ。
ずるいけど、そこまで削り出した努力は凄まじい。そして、たとえ相手が大きくてもそれを小さいこまでぶっ飛ばすのがかっこいいとも思うのだ。


つづく

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