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泥団子研究記①(その辺の園庭(グラウンド)で作りたい)

プロローグ

2012の5月ごろだったか
県の知り合いの担当者から電話がかかってきた。

「神戸市の小学校の先生たちがひかる泥団子の研修がしたいらしい。誰か講師できないか」

というものだった。
泥団子を体系化したのは、
京都教育大の加用先生です。と即答。
ところが、予算がないから
金坂先生、やったことありますか?と聞かれ、
あるけど、別にそんなに上手くないと答える。

翌日、神小研(神戸市小学校教諭研究会)の
生活科部会から連絡。
そのときにはなぜか
「金坂先生はずっと泥団子研究してはるそうで!」
ってどえらい飛躍をしていた。

うけるなら半端ではあかん

そこまで自信もないし、
どないしようかなと思った。
その時、以前恩師から言われた言葉を思い出した。

頭の中に女神様が降りてきた感じ

『求められるという幸せを感じなさい。お願いされるということはありがたく、自分が成長する
新しいチャンスをいただいているのです。』

女神様は現大阪教育大の小崎先生の顔だった。

気持ち悪いw


お受けすることとした。

ひかる泥団子は
京都教育大の加用先生が、研究され
ひろがった。

私も初めてやったのは
聖和大学のとき、
そして保育園実習のとき、
子どもたちとやりたくて、ピカピカが見せたくて
実習おわったら、夕方に毎日練習してた。
そしたら、
園の先生たちがひとり
またひとりと一緒にやり始め、
仲間が増えていった。

今度は教える立場になるので
依頼から数ヶ月かけて
毎週末、泥団子を作り続けて
自分なりにまとめていった。

にぃちゃん大丈夫か?


公園で一人練習してると、
近所のおばあちゃんが声をかけてきた
「何しよんや?」
『泥団子つくってんの』
「…なんでや?」
『仕事なんですわ』

というとご近所婆さんの顔が
わなわなしてくるw

そして
「にいちゃん、仕事なめすぎやでちゃんとしたしごとせなあかんわ!」

泥団子が仕事な訳あるかー
と思われてしもた。


そんなこというたら
児童館の仕事は
かくれんぼして、
こままわして、
水鉄砲して、どろだんごつくってんねん。

すまんなぁばあちゃん。

娘たちと一緒にやってたら
怪しまれない。
なんなら
近所の子どもたちがみんなよってきて
「なにしてるん?」

泥団子教室が始まるのだ。
娘さんたちがちっこいwww

現場での大きなハードル

いろんなところで実験していて
大きなハードルがあることに気づく。

いろんな先生たちが、
「私の勤めてる園(学校)には、いい感じの土台になる土がないんです」

といいはるのだ。
現場でやりたくてもできないと。

ここだなぁ。
多くの学校にグラウンドはあれども土がない。
あって、花壇の土くらいかな

つまり砂場の砂は粒子が均一なため、
水を足したところで、乾くと団子は崩れてしまう。

というわけで、
どうすればグラウンドの砂でできるかを考えた。

グラウンドの表面の砂を払い、
岩盤みたいなとこをくずすと
ほとんどの場所はできると思っている

しかしながら
その「いいあんばい」を
イメージできるかどうかが難しい。

ベストなのは、
たくさんの人に踏まれ、粒子が粉砕され
様々な大きさが混ざり合った、グラウンドの土のような砂のところ。

買ったばかりの、砂は
海や河川からもってくるので、
粒の一つ一つが
均一すぎる。
すると、団子にした時に、砂と砂の隙間に入り込む細かい粒子がないことになる。


どうしても、それぞれの職場環境が違うため、
どこでもできるようにするためには
たとえ、ホームセンターで買ってきた砂や、砂場の砂であってもできる方法を
確立する必要があったのだ。

試行錯誤の繰り返し

いろんなところでやってみた
結果、

砂と、
それをつなぎとめる
接着剤の役割をする土との
バランスを調整したらいけるとの答えに辿り着いた。

砂だけだと、崩れ
土が多すぎると、拳の中からグニュとでてくる。

砂が多ければ、土を足し、
土が多ければ、砂を足す
ということだ。

これで、理論上は大丈夫。

追加する「土」をゲットせよ

次の課題は、その土はどこからもってくるか

なかなか学校園で
自由に転用できる土はないようで、
かつ、
グラウンドを授業で岩盤割って崩すなんてことは
嫌がられるようだ。

だれもど真ん中割れとはいうてない。
隅っこでええねんけどな。

というわけで、
粘土質を足すためにいろいろ調べて、
これに行き着いて、
申請、採取にむかう

「浄水発生土」という。
浄水場で、川から入れた水を
飲み水にするために、
細かい炭などをいれ、不純物を沈殿させたもの。
もともとの旧名は「汚泥」であるが
綺麗にするための活性炭をいれて、しょうどくしてあるのでそんなにきたなくない。


これは浄水場に行って、
1m×1m×1m
つまり1立米でだいたい100円で買うことができる。(事前申請必要)

ほとんどの場合、田んぼや畑の土壌改良に使うようで、トラック横付けして数トン買っていくそうな。

初めて水道局に電話して申請した時は、
「何に使われます?」

「泥団子つくるんです」

「…は?」

「だから、泥団子の材料に…」

って、しばらく問答がつづいた。

まぁ、そんな奴おらんわな。


そんな量はいらんので
バケツ数個分かってくる。

この浄水発生土、炭素が入ってるので真っ黒なため、服につかないように注意せないけないが

粒子がかなり細かく、
粘性も高いので
砂と混ぜることで、
砂と砂を繋ぐかなりよい接着剤の役割となる。

実際に割れにくいのだ



浄水発生土をとりに行くことが
難しい場合は、

ホームセンターで
土を買う。

これ、

「荒木田土」という。
ようは、田んぼの土だ。


荒木田土よりは、
確実に上水発生土の方が粒子が細かく、
砂と砂の間に入り込んで
土台としては割れにくかった。

つづく

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