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どうやら15年前から、やりたいことは変わってないみたいだ。

僕の親父は演劇をやっていて、小さい頃は普通の会社員じゃない親父の仕事が嫌だった。昼間はずっと家にいて、夕方から出かけて夜中や明け方に酔っ払って帰ってきたりする。

中学から高校までは開成で、そこから早稲田に行き演劇に狂い単位は取ったが卒論を出さずに家出したらしい。それなりに優等生だったはずなのに二十歳前後でなぜ思い切ってくれてんだ、普通に就職してくれりゃ良かったのにと何度思ったことか。

演劇の仕事は収入面でもなかなか厳しい。散々稽古に勤しんで公演をしても、それ自体で食べていけるのは一握りで、演劇以外の声優やTVの仕事で少し稼ぎ、それをまた公演に突っ込むような感じじゃないかと思う。

しかも、親父がやっていたのはマス受けもしないニッチなジャンルが多かったから尚更だろう。

それでも、物心つく前から親父の舞台を見続けていると、能力の有無はわかる。そして僕の親父は平均よりは能力があるほうだったようには思う。そこから先はマーケティングや営業力が必要な世界な気がする。

親父を見ながら、よくわからないなりにもっとニーズの広いジャンルをやればいいのに、もっと売り込みをすればいいのにと思っていた。が、そこは何か親父なりの考えや美学がきっとあるんだろうし、その想いは大事にしたい。

僕の原点は、親父のような表現者が自らの能力だけで、会場費や広告宣伝費などの先行投資が少なくてもそこで勝負できるようなプラットフォームを作ることで、就職活動した15年前からずっとそういうことが頭にあった。今でいえばYouTubeがイメージに近いのかもしれない。これを書いているnoteもそういうサービスのひとつだ。

冒頭に書いた親父の話も、詳しいことはよくわからない。昔から親とは仕事の話をほとんどしないので、実態とは少し違うのかもしれないけど。

2017年からマムズラボという会社をやっていて、ママであり、クリエイターであり、フリーランスである人々が自分たちの能力を最大限発揮できるような仕組み作り、プラットフォーム作りを目指しているけれど、ジャンルは違えど考えていることは15年前から変わらない。

そういう今の自分が働く動機を作ってくれたことに関しては、親父には感謝している。

あともうひとつ、感謝していることがある。それは、親の仕事を間近で見ることができた点だ。どんなジャンルにせよ、親の働く姿や表現するものを見ながら育つことができたのは、やっぱり良かったと思う。

いまマムズラボでは、「かぞくみらいフェス」というファミリーイベントを国際フォーラムで開催している。当然ビジネスとしての算段があってやっているわけだけど、いずれは自分の子どもに自分が手がけたイベントを見せたいという動機も少なからずある。

今後マムズラボとしてやりたいことはたくさんあるし、事業状況や外部環境に応じて色々形は変わるだろう。でも本質的にやりたい方向性はあまり変わらない。クリエイターや表現者、あるいは一般の人たちが自分の能力だけで勝負できる場所を作り、それをアウトプットできる機会を生み出すことだ。

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