もう余禄どうでもいいぜ…好きな俳句

  もう余禄どうでもいいぜ法師蟬
                 変哲(小沢昭一)

2003年6月『「WEP俳句通信」十四号』所収の句のようです。
引用は小沢昭一『老いらくの花』よりです。
小沢変哲は1929年生まれ、七十代半ばの作になりますかね。

法師蟬ですか、どんなセミなのでしょう。
セミは夏、蛹から羽化して思い切り鳴き、死んでいくものですね。
幼虫、蛹ときて、セミの成虫になるころには”余禄”、おまけみたいなものなのでしょうか。
人間で言えば隠居?

「もう余禄どうでもいいぜ」。
これは法師蟬の独白のようでもあり、セミを見つめる変哲の独り言にも聞こえます。
隠居俳優を自称し、「実務」すなわち仕事から、遊びへシフトチェンジしたいと書き残した変哲。
法師蟬を見つめる変哲。ふたり(?)が同化していくような…

相変わらずうまいですな、変哲先生。

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