"ウィーン・フィルハーモニーの楽員たちが、彼の指揮に怖気をふるって..." ジョージ・セルの逸話①


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指揮者ジョージ・セルの逸話を引用します。
今日はセルの怖さについて。
この人は、人の言うことなんか、聞かなかったんだろうなあというお話。

”ウィーン・フィルハーモニーの楽員たちが、彼の指揮に怖気をふるって文句をつけたときのこと、彼がきっぱりとこう言った、「わたしは諸君に招かれてきた。諸君はだから私を追い出すこともできる。つまり二つの道がある。諸君の馴染んだやり方でやるか、わたしのやりたいようにやるか。わたしは最初のやり方に賛成しない。だから第二の道しかないわけだ!」”

(ルーベルト・シェトレ著・喜多尾道冬訳『舞台裏の神々 指揮者と楽員の楽屋話』音楽之友社より引用)

セルとウィーン・フィルが共演したときの映像が残っています(1966年、1968年収録)。
素人の私には、セルが指揮台で何をやっているのか、判然としないわけですが、オケはそんなに怖がっているのかなあ。
リハーサルで、衝突があったのか。
このエピソードは、ひょっとして若いころ、オケとセルがお互いをわかっていないころの話かも。
セル晩年のこのころなら、もう大家として名を成し、ウィーン・フィルすら制圧して、文句を言う人などいなかったでしょう。

長年育成した手兵クリーブランド・オーケストラとの録音に比べて、ヨーロッパの名門オケを振るときは、キチキチにオケをコントロールしている風には、自分には聞こえないわけです。
むしろ、オケの美風を生かして(ある程度任せて)演奏をしているように考えていたのですが、さて。

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