教員の役割


やらない子に”得”をさせない

「多くの学校で、やらない子が得をしているケースが少なくない。」

そう言って納得してくれる人はどれくらいいるだろうか。
私は5年位前からこういう主張をしてきたのだけれど、最初は賛成してくれる人は皆無だった。今でもそんなに多くなあ。
それよりも、

「勉強をやらない子は、やりたくてもやれずに苦しんでいる。
 そういう子を助けなくてはいけない。
 そういう子に手厚く支援をしなくてはいけない。」

という方が”あるべき考え方”と捉えられているし、段々と広がっている考え方なのかもしれない。
私だって、そういう見方を全くしていないわけではない。
でも、ちょっと待てよと思っているのだ。

一方で、勉強をやらない子を放っておくことが良いとも思っていない。
私は「一人も見捨てない」を旗印とする『学び合い』の実践者だ。そんなことを考えるはずがない。

でも、やらない子が得をしている。

勉強をやらない子が得をしている、とはいったいどういうことだろう。
例として、「テスト」の話を。
あくまで、分かりやすくデフォルメした架空の話だ。その前提で読んでいただきたい。

やらない二人

とある教室。今日は算数のテストだ。しかし、A君とB君は何もやらない。A君机に突っ伏したまま。B君は教室の中をフラフラと立ち歩いている。二人へ先生が何度も声をかける。
「テストですよ。やりましょう」
「できなくてもいいんだよ。やれるだけやってごらん」
でも、やらない。その日は、白紙のままテストが回収された。
もちろん、二人とも0点。担任の先生は困ってしまった。0点のテストを返却したら、保護者にどう思われるだろう。指導力が足りないと思われるんじゃないか。
担任は、白紙のテストを教室の棚にしまいながら、次回はどうにかしてテストをやらせたいと考えていた。

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