見出し画像

2021/4/9 オズワルド単独ライブ「あたらしいとうきょう」の今更レポ

 以前やっていたお笑いブログに載せていた2021年春に行われたオズワルド単独ライブ「あたらしいとうきょう」のレポート、まだ需要があるかもしれないので載せておきます。

画像1

 この単独は元々は2020年春に開催される予定で、独自の世界観を楽しみにしていましたがご時世で延期になり、ようやく観れたという感じの単独でした。この単独の時点で既に漫才の質が凄まじかったのですが、さらにレベルを上げてきて夏にABC優勝、M-1準優勝を果たすことになり本当にヤバいコンビだなと思いました。最高の単独だったので、二人の辿った軌跡のひとつとして残しておきます。

 この単独のメインテーマともなった畠中さんのオリジナルソング「あたらしいとうきょう」は、現在ではyoutubeに上がっております。ユニットコントの世界観と非常にマッチした素晴らしい楽曲ですので、堪能してみて下さい。


※以下に掲載するネタは現在は地上波で放送されたネタが殆どですが、内容を細かく書いていますので問題がありましたらご一報くださると助かります。

(2022.3.26 nao 拝)

オズワルド単独ライブ「あたらしいとうきょう」

 オズワルドの単独ライブ、前評判がとても良かったので見てみたのですが、予想以上に素晴らしすぎて、これはしっかりレポしておかねば……といてもたってもいられなくなって、記事を書き始めました。とりあえずババーっと内容を書いて最後に感想をまとめます。

 前置きしておくと、この単独、東京吉本の漫才師を推している方にとっては「選択科目」ではなくて「必須科目」だと思いました。オズワルドお二人の素晴らしさはもちろんなんですが、おぎやはぎやPOISON GIRL BANDの系譜の、東京スタイルの漫才を極めぬいた最新形態がこれといってもいいと思います。

オープニング

手書きイラストによる可愛いアニメからはじまる。畠中さんと伊藤さんの出自紹介みたいなアニメ。これがまためちゃめちゃ凝ってて、かわいい。一気に心を掴まれた。

このアニメのBGMは、吉田拓郎の「まにあうかもしれない」だったのだけど、そこから流れるようにt字路s「これさえあれば」の出囃子がかかって、オズワルドの二人が登場する流れがめちゃめちゃ良かった。どちらの曲も1970年っぽいレトロな雰囲気があり統一感がある。凝ってるなあ~おしゃれだなあ~。

つかみで「僕たちの大ファンの人~!」と聞いたけれど、あんまり手が上がらない。伊藤「それって初見単独ってこと?」『初見単独』ってまたパワーワードだな。伊藤さんの抜群のワードセンスが初っ端からバリバリ発揮されてさらにグイグイ引き込まれる。そこから流れるように一本目の漫才へ。

①『恩返し』

畠中さんが「美容師の人にいつも髪切ってもらってるから、今度は僕が髪切ってあげたい」「小室にはいつも曲作ってもらってるから、小室に曲を作ってあげたい」といった正気の沙汰ではない恩返しの価値観をぶっこんできて、それに抜群のワードセンスでツッコんでいく伊藤さん。最後の方に畠中さんが「おしりって座ってばっかりだから、おしりに(人を)座らせさせてあげたいんだよ」のくだりが最強に面白かった。「おしりにすわらせさせてあげる」っていう言い回しが、なんかもう何言ってんのか分かんないし、最終的に伊藤さんを自分のおしりに座らせようとするし、とにかく狂ってる。そんな畑中さんに対して言った「いや”座り座られの関係”嫌だから」って伊藤さんのワードセンスがよかった。”座り座られの関係”って。しばらく何かの折に呟いてしまいそう。

②『犬』

結構ブラックなネタ。畠中さんが犬が欲しいと言いだすのだけど、ペットショップとかで買うのではなく、なぜか誰かが既に飼っている犬を手に入れようとして頑なな態度をとる。それはありえないという伊藤さんに「『でも』ね、飼い主は二十歳の大学生の男だから」という畠中さん。「その飼い主ごと引き取って幸せにするよ」と畠中さんはボケを続けるが、それを無視して「さっきの『でも』って何?」「『でも』の意味だけ聞かせてくれないかな…。」と、『でも』の使い方ばかり気になってツッコみつづける伊藤さん。こういう接続詞などの細かい間違いを指摘するツッコミがすごく東京のお笑いっぽいし、オズワルドっぽくて好き。最終的に犬だけでなく二十歳の男の子の大学生の下のお世話もしようとしている畠中さんはトチ狂ってた。

③『ペーパードライバー』

しばらく車運転していないから伊藤さんにいろいろ運転のことを聞こうとする畠中さん。その技術は「まず車ってどっから乗るんだっけ?」というレベル。伊藤さんが「車を発進させるときに障害物がないか確かめて」とアドバイスするも、畠中さんは「それはハードルと為末がいないってことでいい?」とズレた解釈をする。その後も「万が一為末がいたらどかしちゃっていい?」「為末にハードルを持って帰らせればいい?」と為末ネタをしつこく引っ張り最終的に伊藤さんに「いったん為末を忘れようか」とツッコまれてしまう。その後伊藤さんは「車の下に猫がいたらどかして」とアドバイスするも、畠中さんはどうやって猫をどかしたらいいかわからない。「大きい声をだしてどかしたら?」という伊藤さんのアドバイスに「めっ!ていえばいい?」「しっ!っていえばいい?」「ぽっ!っていえばいい?」と、ズレた回答ばっかりする畠中さんに呆れ返って「もう大きい声出さなくていい」と、伊藤さんが諦めちゃう。その後もぐだぐだやってて、結局車は発車せずにネタが終わる。

幕間『椅子王選手権』

オズワルド二人が椅子を作って、伊藤さんと畠中さんどちらの椅子が先に通行人に座ってもらえるか対決する企画。素敵じゃないかの柏木さんが嫌々ゲストに来ていた。対決も面白かったけど、そもそも立派な椅子を作ったオズワルド二人がすげえ。特に畠中さん。めっちゃ器用。すげえ。

コント 『葬式』

畠中さんの兄が亡くなってお葬式をするというネタ。納骨のシーンで畠中さんがずっと泣いているんだけど、その泣きの演技がけっこう、いやかなり、上手かった。で、肝心の骨が、どう見てもロボットのパーツ。ロボットのパーツを箸で拾って納骨していく二人の図がシュール。喉仏を拾ったら、そこにダイイングメッセージが吹き込まれていて、その話がものすごく長くてくだらない。ずーーっとくだらない話を聞かされ続け、最終的には…という話。オズワルドのコント初めて見て、面白かったし、新鮮でした。

幕間 『ロボ王選手権(前)』

ロボットネタからのつながりで幕間。また素敵じゃないかの柏木さんゲスト。モビルスーツ的なロボットを作って、相手の「コア」を破壊した方が勝ちというルールらしい。ロボット好きの私はこの時点でワクワクが止まらなかったのだけど、現れたのはパンツ一丁に段ボール箱をほぼそのままかぶっただけの伊藤さん。めちゃくちゃチープだし全然モビルスーツに見えない。対する畠中さんのモビルスーツはすごいかっこいい!曲線的でアーティスティック。椅子も上手だったし畠中さんこういうの器用なのね。お互いモビルスーツを見せ合って前半の幕間は終了。

④『16時間断食ダイエット』

太ったからダイエットしたい畠中さん。5キロくらい痩せたいが「ダーツより激しい運動はしたくない」と駄々をこねる。伊藤さんも「ダーツの運動量は歯磨き位だから」とツッコみ、ダーツに対する偏見がすごい漫才が繰り広げられる。伊藤さんが「16時間断食」を提案するも畠中さん聞き取れず。どうしても「中国示談大好き?」としか聞き取れない。最終的に「今日はもうそれ(中国示談大好き?)でいかしてもらおう」と諦めちゃう伊藤。その後「夕方6時以降は食べる時間」「それ以外は食べない時間」と決めてダイエットしていこうということになるが、「夕方6時以降に近所の奥さんがカレーを差し入れに来たらどうする?」とか余計な心配をしはじめて、どんどん話が脱線して行って、最終的には奥さんが妖怪になって終了。

⑤『モノマネ』

ダーツに行ったら、3回連続で中央にダーツが当てられて、集中力の大事さを痛感したという畠中さん。ダーツが好きなコンビなんだね、オズワルドは。で、その集中力をモノマネに使いたいと言うことになり、畠中さんがキムタクの「ちょっと待てよ」のモノマネをするも全然似ていない。2回目のモノマネは深く呼吸をして集中してやるが「ちょっと待てーー!!」と叫んだだけで、もはやキムタクじゃないし、誰のモノマネだかもわからない。続いて松田優作の「なんじゃこりゃあ」のモノマネするけど、これもひどい出来で「地元の飲み会じゃねえんだぞ、金払ってみんな見に来てんだぞ」と伊藤さんに怒られる。もう一度腹に鉄砲で撃たれたところからやり直すも、奇声を上げながら伊藤さんに自分の血をなすりつけるだけの畠中さん。伊藤さんべたべた触られてマジで気持ち悪そうにしてて面白かった。いつも動かないオズワルドだからちょっと動くだけでなんか面白い。最後はトリプルアクセルのモノマネ…もはやモノマネといっていいのか?「客が集中すればトリプルアクセルに見える」という滅茶苦茶な理論で一回転だけ飛んで漫才は終了。

⑥『迷子で泣いている男の子』

迷子で泣いている男の子を見つけたが、隣で立ち尽くすことしかできなかったという畠中さん。「声かけてあげればよかったじゃん」という伊藤さんに、なんて声をかけていいかわからない畠中さん。「お母さん一緒に探してあげるから大丈夫だよ」でオッケーだという伊藤さんが言うも、「お母さんを探し回ったけど山積みキャベツの下にもいなかったら?」と訳の分からないことを言い出す畠中さん。「山積みキャベツの下にいなかったら、安心していい」「山積みキャベツの下にいるような母親じゃなかったって安心していい」と便乗ボケっぽいツッコミをする伊藤さん。「じゃあ山積みキャベツの下にいたら?」と畠中さんに聴かれると「もう親権うばっちゃえ。そんな親よりお前の方がマシ」とブラックな発言をする伊藤さん。さすが単独というか、安心安全に見えてちょいちょいブラック織り交ぜてくるのがいい。で、その子のママになるために性転換オペをすると言い出す畠中さん。「シリコン入れた方がいい?」「おばさんのパーマって美容院で何ていえばいい?」と質問を繰り返す畠中さんに「俺Yahoo知恵袋じゃねえから」とキレる伊藤さん。「でもエジソンは幼少期にいっぱい質問したから」という畠中さんに、伊藤さんが「お前は幼少期の”エジソン”じゃなくて33歳の”オジサン(エジソンのイントネーションで)”だから」と訂正したんだけど、その間の取り方とか言い方が絶妙に面白くてツボだった。最終的にその”オジサン”発言から「迷子のおじさんを見つけたらどうする?」というとんちんかんな話になり、「おじさんが家に来たらどうすればいい?」「そのおじさんがムキムキだったらどうすればいい?」とまた畠中さんに質問攻めされて伊藤さんが次第にブチ切れモードになっていくところが面白かった。あとはこのネタの最中、畠中さんがネタをトチって「あ、間違えた。」とド正直に言って漫才を中断させちゃった場面があって、めっちゃ天然おバカさんキャラって感じで可愛かった(笑)。「こういう素直な所が好きで組んでるんですよ」と気の利いた言葉でカバーする伊藤さん、男前ぇ~。

幕間『ロボ王選手権(後)』

さっきの幕間で作ったモビルスーツで対決する二人。ここは、申し訳ないけど、ハンディカムの手振れがすごくて酔っちゃってまともに見られなかった……。野田さんと一緒で電車やタクシーで酔っちゃうタイプなんですすみません。伊藤さんの白くてムチムチの太ももになんか目がいっちゃった。そんな感想しか書けなくてすみません。本当にすみません。

ユニットコント『あたらしいとうきょう』

ゲスト:カナメストーン、素敵じゃないか、伊藤沙莉。

地上で戦争が起こって地下にしか住めなくなった未来の話。地下世界は「ニュートーキョー」と呼ばれ、「嘘禁止法」という法律のある世界。

そこでオズワルドとカナメの東峰さんが話している。伊藤さんが「妹の成人祝いをしてやりたい」と言い出す。畠中さんも東峰さんも妹のことを「あいつ」呼ばわりするからなんかカチンと来てるシスコン全開な伊藤さん。

そこに「何の話してるの?」と現れた伊藤沙莉!きたーーー!!あのハスキーボイスが聞こえた瞬間にコントの空気が一変する。カリスマ感がすごい。東峰さん「本物の沙莉だ!」と言ってお客さんも盛り上がる。

何の話をしていたのかしつこく聞かれて、成人祝いの話をしてたのを誤魔化すために、東峰さんが「お風呂って気持ちいいって話をしてたんだよな~」と嘘をついてしまう。そこでサイレンが鳴って嘘がバレる。カナメ山口さんと素敵じゃないかの二人が軍服姿で現れ、東峰さん連れ去られる。

沙莉ちゃんに問い詰められて誕生祝を計画していたことを打ち明ける伊藤さん。何が欲しいか沙莉ちゃんに聴くも、どれも予算オーバーで買えず。「情けない兄ちゃんでごめんね」という伊藤さんがなんかリアルな兄ちゃん感あって可愛かった。すると「本物の東京を見てみたい」と言い出す沙莉ちゃん。地上の東京が見たいらしい。ここからなんか急激に演劇チックになる。畠中さんと沙莉ちゃんでミュージカルが始まってしまう。ふたりの息ぴったり。で、どうしても地上に出たいという沙莉ちゃんに根負けして、地上への出方を調べることにした伊藤さん。

一方で東峰さんは、嘘をついたお仕置きとしてほうれい線を濃くされていた。あと分け目も濃くされてた。

オズワルドと沙莉ちゃんが地上に行くために四苦八苦していると、東峰さんが戻ってくる。戻ってきても全然歓迎されない東峰さんが不憫。東峰さんが地下鉄をたどっていけば地上に出られるのではと提案する。その案にみんなで乗るけど、東峰さんだけついてきちゃダメみたいな雰囲気になる。そこで東峰さんが「お前らの事なんか好きじゃない」とまた嘘をついてしまって、また連れ去られる。

その後も東峰さんは何回も連れ去られてカナメ&素敵じゃないかでコミカルなお仕置き劇が繰り返される。

東峰さんは連れ去られ続けているので、オズワルドと沙莉ちゃん三人で地上に行くことに。ずっと歩き続けていると、風の音が聞こえてくる。その先に階段があり、階段を登る3人……。

と、オチがどうなったかは伏せておきます。

エンディング

畠中さんのオリジナルソング『あたらしいとうきょう』。ちょ、めちゃめちゃいい曲…!!!畠中さんの歌声がまた哀愁漂っててたまらない。本当にすごい人だ。

ここで一人1パートずつ畠中さんのオリジナルソングを歌い、大団円となって、閉幕。

感想

もー、本当に面白かった!!何がいいって、音楽ですよ。オープニングの吉田拓郎も良かったし、出囃子もいいし、畠中さんのオリジナル曲も信じられない位素敵。畠中さんの歌声もめっちゃいいです、哀愁があって。唯一無二の才能だと思いました。エンディングトーク中でもずっとギターが流れ続けていて……なんか、泣きそうでした。音楽に統一感があり、オズワルドのお二人のレトロな風貌や漫才の雰囲気と相俟って全体的な雰囲気をまとめてくれたので、最初から最後までずっと『おずWORLD』が途切れず、1本の長いお芝居をみているみたいな気持ちになりました。私はお二人を昔から追ってきた熱心なファンというわけではなかったんですが、この単独を見たら、永遠に追い続けていきたいなと思いました。

ってなわけで雰囲気は最高だったんですけど、メインはなんと言っても漫才ですよ。どれもとにかくバッキバキでした。この時期でこの完成度!?ってびっくりしました。どのネタがM-1で使われててもおかしくない。

オズワルドはの漫才のスタイルは本当にもうドンピシャ好みです。東京漫才のほぼ動かずに、ローテンションで、ツッコミのワードセンスと構成力で勝負していくタイプ。ローテンションだからといって卑屈っぽかったり、機械的だったり冷淡な感じがしないのは、やっぱり最後の方に伊藤さんの『素』が出てくるからなのかもしれない。あの狂犬ぽい性格が。序盤の伊藤さんのワードセンスで鋭く切り込んでくる『便乗ボケ』っぽいツッコミから、だんだん畠中さんのぶっとびにイラついてきて伊藤さんの『素』が出てくる、その『素』の出し方にテクニックを駆使していて、試行錯誤されているように見える。

個人的な考えですが、M-1の尺とかだと、どこまで優しい『便乗ボケ』っぽさを保って、どこからイライラの『素』を出していくかが結構シビアに採点に影響してそう。去年のM-1は一昨年に比べて『素』の出ている割合がだいぶ高かったので、松本さんからは「静の漫才が見たかった」と言われました。でもオール巨人さんからは「もう少し大きい声でツッコんだら」と言われ、真逆の評価をされてたり、好みの別れるところ。伊藤さんのブチ切れのタイミングがカギなのかなーと思いますが、「じわじわ切れる」か「いきなり切れる」かでも結構印象が違うなと思いました。切れ方は「じわじわ」が好きな人もいれば「いきなり」が好きな人もいるだろうけど、M-1のネタ尺だと「いきなり」と感じやすくなる気がします。でも今回の単独みたいに長めの尺で見ると「じわじわ」と感じやすくなり、「いつ切れるんだろう」「あ、切れはじめた」「もうブチ切れだ」とゆっくり分かっていくのがなんか楽しかった。

あとはツッコミのポイント……こうやってネタひとつひとつを見返してみると、オズワルドは本っ当に、POISON GIRL BANDの影響を強く受けているんだなと痛感しました。『モノマネ』ネタは有名なPGBのネタなのでオマージュにも感じましたし、特に影響を強く感じたのは、畠中さんが、本当に嫌になるほど何度も何度もズレた回答を繰り返し(中国示談大好き?と繰り返すくだりとか)、伊藤さんが最終的に「もうそれでいこう」とツッコむことをあきらめてしまう、あの感じです。2006年M-1のポイズンの「ファッション」でやってたやつ。

阿「靴の底はぺったんこでぴったんこのやつがいいんだ?」
吉「サイズも言うならね」
阿「ぴったんこでぺったんこの奴はダメなんだ?」
吉「サイズ先に言うならぴったんこでぺったんこでも全然大丈夫」
阿「ぺったんこ兼ぴったんこでもいいの?」
吉「”兼”とかつかうならね」
阿「ぴったんこ兼ぺったんこなら」
吉「もう靴いらね。まどろっこしくてごめん。靴脱ぎ捨てて帰る今日」

ってなるあの下りですよ!ボケに翻弄され続けて最終的に諦めちゃう、あのぶっきらぼうに投げ捨てる感じがオズワルドにしっかり継承されているんです。古のお笑いファンからしたらたまらないんですよ、こういう歴代の漫才の系譜を感じる部分っていうの。

あとは相変わらず伏線回収が見事だなあと思います。去年のM-1の『口飽きっぱなし』も凄かったですよね。めちゃくちゃ練られています。今回の単独だと『ペーパードライバー』は伏線回収がすごくしっかり作られてました。私はどちらかというと、構成が雑でも爆発力のあるコンビばかり好きになる傾向があるのですが、オズワルドに関してはやっぱり伏線回収なども含めて構成力を求めてしまいます。爆発力というよりかは静かなトーンで淡々とやっているコンビなので、その静かな中に鋭く切り込むワードセンスでバカ笑いさせてきたり、ここぞ!というベストタイミングで大声を張り上げる伊藤さんというのがたまらないし、漫才のポイントになってるんですよね。

2019のM-1でいうと、高速寿司マシーンのくだりで、

伊「高速寿司捨てマシーンだよ!そもそも先輩が寿司打って喜ぶわけねえだろ!」
畠「それは分かってるよ」
伊「それは分かってるんだってさぁ~~~!!」

の、あそこがあのネタの最高の盛り上がりどころだったと思います。ネタによっては、2020M-1のネタもそうですけど、伊藤さんが大声を張り上げるタイミングが1本の漫才に何回もあることもあります。でも2019みたいにそれが1回くらいしかない漫才ってのもあります。その1回を盛り上げるために漫才の他の部分があるといっても過言ではない。そういう構成って、ちょっと危うくて美しいですよね。2019と2020のM-1ではそういう意味で二つのオズワルドの漫才の二つのタイプを示したわけですが、どちらも素晴らしいし、どっちがいいとか言えません。今回の単独では、モノマネが入ってきたりとか、大きめの動きボケが入っているネタもありました。もう十分に新しいのに、さらに進化しようと色々な試みをされているんだなあと思いました。2021年末にお二人がどうなっているのか楽しみです。

というわけで、まだ何回も見返したい気持ちもありますが、長くなってきたのでこのくらいにしておきます。金曜日まで配信で見られるので、まだの方はぜひ。繰り返しますが東京吉本を推しているならこれは「選択科目」ではなく「必須科目」ですよ。必ず見て下さい!

以上、下記はてなブログより加筆修正して転載。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?