「怪獣8号」を読みながら想うこと。

このマンガを読んでるといつも1人の人物のことが頭に浮かぶ。
ひたすらに不幸やトラブルを呼び込むし中身をよく知らない人にはただのガラの悪い厄介めのヲタクにしか見えてんだろなって不器用極まりない生き方をしてるけど、もしこの世に怪獣みたいな絶対的“敵”が存在してたら自分のことを二の次にして身を呈して他人を助けちゃってるんだろなって、そういう現実的な“ヒーロー像”があの人の中には在る、少なくとも僕はそう思ってるしそんなマンガみたいな人が僕には他に浮かばない。
けど現実の世界にそんな敵は存在しなくて、何よりあの人にはそんなものと戦う能力も術も備わっていない。せいぜい皆んなが嫌がってやらない清掃業をやるハメになってブツブツ文句を言いながら働く、というぐらいしか。決してロマンチストなヒーローはその精神的資質を最大限に発揮する場になんか恵まれない、それが本当の現実、リアルだ。
歯痒いよね、ホントに悔しいよねこの世の中ってヤツは。
だからって「怪獣8号」の主人公たちのいる環境が恵まれてるなんて1ミリも思わない。怪獣なんて災害が存在したら大迷惑だし、彼らは彼らのリアルで本当に命を賭して戦ってるんだから。でもそっちじゃなくてこっちにもアナタたちみたいな人はロクに陽を浴びずともいるよだからその分も頑張って戦ってね、なんて。そんなことを勝手に思いながら「怪獣8号」を読んじゃうからいつも無性に涙が止まらなくなる。

靖子ちゃんにもこんな感覚があるから、手を差し伸べてステージに上げてみたりしたのかな、なんてそんなことも勝手に思ってみたり。

まぁでも、そうであろうとなかろうと、僕の中じゃあの人はやっぱり“ヒーロー”なんだよね。
ぶつくさ言いながらも日々を生き続けててね。
 
 

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