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DJ WADAヒストリー ディスコ編[第2期⑤]

前回、曲を作り始めて半年ほど経ったころに
恋人ができて…と書いたのですが、
よくよく聞いたら〈半年〉というのは
違っていたそうで。。。
(あいつ、適当に教えがって!)

なにせ30年近くも前の話、
記憶の検索機能の精度にムラがあるのも
仕方がないということで… すみません。。
少し時系列を整理すると。。。

85年6月〜7月 ロンドンへ
85年後半 曲づくり開始
86年 恋人と別れて曲づくりに没頭
87年後半 新しい恋人ができる。

という感じみたいです。
曲づくりが本格化したのは
86年の恋人と別れたあたりから。

前回の記事のおさらいになりますが
恋人と別れて一人の時間が増えた彼は
鬱屈した自身の心を慰めるかのように
曲をづくりにますます没頭します。
その動機は〈自分のためだけの曲づくり〉。
同時に、彼の行動は
〈自分のための曲づくり〉に不可欠な
自分の内的世界を構築するための
“自分の好きなもの”に
フォーカスする期間にも突入します。

いつの間にか生業ともなっていた
“音楽で人を楽しませるためのDJ”とは違い、
彼にとっての作曲は
“自己の世界観の構築(表現)”。
必然、音楽との対峙の仕方は変わってきます。

ディスコでは使うことのない、
民族音楽やジャズ、シャンソン、環境音楽…
今まで意識さえしていなかった
ジャンルの音楽を
ただただ、インスピレーションでもって
セレクトして聴き漁り、
タテへとヨコへと
音楽の知識の幅を拡げてゆきます。
子供の頃に、あるいはバンド時代に、
用途など一切考えずに
自分の興味の赴くままに、
心の琴線に触れる音楽を無心に求めるー
そんな、当たり前にしていた作業を思い出し、
それをさらに拡げて遠くまで、
といった感じでしょうか。

音楽以外にも
たくさんの映画をひとりで観て、
ひとりで美術館へと足を運び
気になったアーティストのライブにも
ひとりで足を運ぶ。
そして、インスパイアされ、
そこから自分ひとりのための曲をつくる。

ちなみにこの時期触れたもので
思い出すものは? と訊いたら
色々ありすぎて思い出せないというのを
なんとか絞り出させて出てきたのが、

映画だとJim Jarmuschの
『Down by Law』とか
Andreas Vollenweiderのライブとか …
Down to the Moonの頃)

今思えばインプットの時期だったんでしょう。
この時期のこの行動がその後、
あらゆるところで活きることになります。
(表現者にとっては大切な時間ですよね。)

一方、生業であるDJはというと
マハラジャなどのユーロビートを
メインにかけるような
大型ディスコが流行してくる傍らで
彼らのいた老舗のディスコは
定期的な改装などの動きはあるものの
さほど大きな変化もなく
淡々と、穏やかな状況だったそうです。

そんな環境下で、
鬱屈とした心の蟠りを抱えながらも
新しい恋人に曲を聴かせたことをきっかけに
誰かに曲を聴かせることに
思い至ったわけですが、
実際に彼女以外の誰かに聴かせたのは88年、
曲を作り始めてから約2年ほど経った頃でした。

当時、彼のいた『Neo Japonesque』の
系列店『Reve Japonesque』に
優秀な若手がいると、
彼の耳にも届いてきていた
DJ SOMAさんといつの間にか仲良くなり、
よく連むようになります。

そして、DJ SOMAさんと連むうちに
その後AtomやCo-Fusionなどのユニット活動で
永年のパートナーとなる
HEIGO TANIさんとも出会います。

お二方とも今でも交流があるのですが
ファーストインプレッションとか
なにか面白いエピソードはないの?
なんて試しに聞いてみたのですが
あんまり覚えていないとのこと。。。
意外とその後も縁が続く人との
運命(?)の出会いなんて
そんなもんなのかもしれないですね。
まぁ、強引に美化してしまえば
“あまりにも自然な出会いで〜”
なんて風にも、なんとでも
言えるかもしれませんが(笑)

それはさておき、
その頃すでに曲を作っていた2人に混ざって
TANIさんがサンプラーを
DJ SOMAさんがシンセを
彼がギターを(と、たまにサンプラーも)
それぞれに持ち寄って
遊び半分で一緒に曲を作り始めます。

この頃は、DTMなんてまだまだで、
それぞれの機材が
今のようにソフトなどではなくハード機材、
電子音楽を作曲する環境を
一般の個人がひとりで全部揃えるのは
なかなかハードルが高い時代でした。
彼ら同様にバンドのように
機材を持ち寄って作曲するスタイルも
少なくはなかったのではないでしょうか。

さて、こうして、
ようやく自分だけの世界から
出てくることになった彼ですが
このことをきっかけに、か、
ただ時期だっただけなのか、
音楽的な側面のみならず、
彼をとりまく様々な状況が
またもや変化してゆくことになるのです。

ということで、今回はここまで。

次回からはめくるめく変化が…
あるはず。かも?
あると思う。
いや、あるんじゃないかな。
たぶん。(無責任)


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