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DJ WADAヒストリー ディスコ編[第1期②]

3個前の記事で
“あと2年で40年のキャリア”
なんて書きましたが、違いました。
彼がDJを始めたのは1978年。
あと3年ですね。
でももうあと10日くらいで2016年だから
2年でもいいのかな。いいか。

というわけで、このお話は
1978年、WADAくん19歳の夏のお話です。
(歳がバレちゃうね!)

さて、短すぎる見習い期間を経て
彼はやっつけのままDJデビューを果たします。
『fou-fou』には彼の他に
もう一人しかDJがいなかったため
いきなり初日から
メインタイムのプレイも任されるという
スパルタな状況でのスタートです。

曲も殆ど知らない、
MIXはまだまだ練習途中、
準備万端、どっからでもかかって来い!
…とは、ほど遠い彼は
〈曲知らないし、できるわけないよ…。〉
なんて、後ろ向きな姿勢ながらも
やはり緊張はします。

さぁ、これからピークタイムだ。あげてくぞ!
というタイミングで
早番の先輩から遅番の彼にバトンタッチ。
引き継ぎをしている間に曲が終わりそうになり
慌てて先輩に指示されたレコードをかけます。
しかし、指示されたレコードの曲順を
間違えるという痛恨のミス。
そのうえ、よりによってかけたその曲が
見事に流れに合わないダウンテンポな曲。
フロアいっぱいのお客さん達、戸惑う!

いきなり初っ端の初っ端にやらかします。

その様を見て、先輩は一言。
「あ〜あ、、この子やっちゃったよ。。」 と。

ちなみにどう間違えたかというと、
Bob WelchのEbony Eyes
をかけようとして、
Bob WelchのSentimental Lady

かけちゃったのだという。

しかし、大きな失敗はそれくらいで
その後は見習い中にメモしたノートを見ながら
なんとか、そつなくこなします。
(初日じゃないけど、遊びに来た友達が勝手に機材をいじっていきなり照明OFFっちゃったよ事件とかはあったらしいけど。)

人手不足による忙しさと
バンド活動で培ったリズム感は
彼のDJスキルの上達を大いに助け
半年もしないうちに彼は
系列店の中で一目おかれるDJに成長します。

余談ですが、
この頃一緒にMIXの練習をしていた
先輩Nくん(not N“さん”)に
連れられて行った赤坂『BYBLOS』。

当時『Castel』はファッション関係者や
アカデミックな感じの
お客さんが多かったのに対して
『BYBLOS』は
来日中の海外ロックアーティストなどが
よく訪れる店だったようで
ロック小僧の彼には
密かに憧れのお店だったそうです。

そこでご挨拶させていただいだDJの先輩が、
DJ AGEISHIさん。

「新人のWADAです。」とご挨拶したら
「おう、頑張れよ。」と
返事してもらった時のことを
彼は今でも覚えているそうです。
AGEISHIさんとは今でも
度々ご一緒する機会があるのですが
38年来って、現役で活躍されているDJの中では
一番長い知り合いになるのかも?

あ、あと、それから少しあとに
まだ16歳だったTobyさん (Tobynation)とも
出会っています。
(もしかしたらご本人は覚えていないかも…)
この時はサラっと
挨拶を交わしただけだったらしいですが
その後、Maniac Loveやベルリンなど
様々な場所で時間を共にすることになるなんて
ご縁って面白いですね。

さて、話は戻して
半年ほどして彼は『Castel』に籍を戻します。
籍を戻すといっても、
『fou-fou』でDJデビューをしてからも
ほぼ毎日ヘルプ的な感じで
『Castel』でもプレイしていたので
(正確には練習と称して“させられてた”?)
特に何が変わったわけでもなかったようですが
それでも華やかな『Castel』での仕事は
彼に多くの経験をもたらしました。
『Castel』では
“ケロハチ(かえる似だから?)”と呼ばれて
スタッフに可愛がられ
キッチンでは贅沢な賄いにありつき、
セレブなお客さん達にも評判は上々。
今まで想像さえしなかったような世界の
住人たちと接する機会も増えます。

練習を重ねていたMIXも上達し、
当時まだ数の多くない“MIXができるDJ”として
雑誌に取り上げられたり
(写真うつりが異様に良かったそうで、その後
それを見た女子スタッフにクレームを受けたそうです。酷いな。笑)
雑誌を見た人が地方からわざわざ彼のプレイを
見学しに来るようになったりしました。

この時のMIXはというと
基本的にロングミックスはせず
 2、3小節くらいを混ぜて行う
彼の言葉を借りれば
“ブチ込み”だったらしいです。
今のように打ち込みの曲ではなく
実際の人間の手で演奏された曲の
ピッチを合わせるわけですから
(ピッチが安定してないんですね。)
せいぜい2、3小節くらいが限度だったみたい。
って言われればそりゃそうだ、なんですが。

選曲も『Castel』では“流れ”重視。
場の流れに合わなければ
どんな人物のリクエストであっても
よっぽどのことがない限り
応じることはありません。
(流れに合えば、応じます。)

そして、このクオリティー重視の精神は
良くも悪くも彼の中に深く根をはり、
この後、度々トラブルを
起こすことになるのです。。。

そして、次回。諸行無常!
華やかな『Castel』での
WADAくんのキャリアに
早くも翳りが見え始めます。

ああ、第1期は2回で収めたかったのに。。。
収まらなかった!

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