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DJ WADAヒストリー ディスコ編[第2期④]

憧れの地の空気がそうさせたのか
海外旅行という初めての体験が閃かせたのか
ただ単に思索に耽るための時間を持てたことが
そこへ思い至らせたのか。

とにかく何が〈きっかけ〉だったかは
定かではないようですが
ロンドンへ行ったことで
なんらかの刺激を受け、
“曲を作ること”に目覚めたWADAくんは
帰国後ほどなくしてはじめたこの作業に
いつしか仕事以外のほとんどの時間を
捧げるようになります。

子供の頃、お中元で貰ったコーラを
親が目をはなした隙に1人でまるまる1ケース
全部飲んじゃったり(そして体調を崩す)
乳歯をボロボロにするほどに
“小梅ちゃん”を食べ過ぎたり
大好きなお店のとんかつを
初任給で1ヶ月間毎日食べ続けたり…etc.
モトモトひとつのことに拘りはじめると
興味がなくなるまで
とことん追求する極端なタイプ。
(例が全部食い物だけど!)
コーラやとんかつと同じように
他が見えなくなるくらいの勢いで
曲づくりにものめり込みます。

それまで飲み歩いていたのもやめ、
当時半同棲していた恋人とも別れて
(曲づくりが原因ではなく
たまたま時期だっただけだそうですが)
彼の生活の大半は、
職場であるディスコ『Neo』と
自室での曲づくりという
音楽との対峙だけになります。

では、〈きっかけ〉は置いといて
なぜそんなにしてまで曲をつくりたかったのか
その先に何を求めていたのか、なのですが、
彼を動かしたそのモチベーションは
誰かに聴かせたいでもなく、
作曲で身を立てたいでもなく、
ただ自分が聴くための曲を
つくりたいという欲求、それのみでした。

友人や恋人はおろか
家族との接触さえも必要最低限。
プライベートでの〈外界〉を極力遮断してまで
ただただ音楽だけに没頭し、
自分の世界観を追求。
というとなんだか聞こえは良いのですが
そうやって彼は自分の〈内的世界〉に
つまり、自分で築いたサンクチュアリに
立てこもったのです。

渡英前に燻っていた、不安や閉塞感、絶望感は
憧れの地で見つけたなにかにより
突破口を見出されたわけではなく
楽しかったバカンスとの強いコントラストで
逆に勢いを増し、
彼の目に映る現実の世界から色彩を奪い
そんな現実から目を背け逃避する手段として
彼を創作活動に走らせていたのでした。
(って、“あるある”だよね、これ。)

そしてその創作は、
この機材のこの機能でこんなことができる。
この音が面白い。
あれと、あれを組み合わせて…というような
道具に対する興味や好奇心と
結びついた作業ではなく
現状逃避に相応しい、
例えば夏の雨だったり朝の光だったりの
比較的身近な情景を描くような
イメージ先行のものだったようです。
ただ、この頃はまだ
ニューエイジ思想への傾倒どころか
精神世界全般への知識は疎かったようで、
今のように宇宙や次元などの題材が
盛り込まれていくのは、まだ後の話。

そんな現実逃避な毎日を送る彼でしたが
半年ほど経ったころ
鬱々とした引きこもり生活の中にも
ひょんなことから、新しい恋人ができます。
(個人的には、普通こういう引きこもり期に
 恋人とかできるか?って感じだけど。)
その恋人に作り溜めた曲を
聴かせたことをきっかけに
自分の作品を外界に晒すことに
ようやく思い至るのです。

ということで。今回は動きが少なくて
つまらなかったんじゃないかと思いますが、
ここを読んでいただいている方の中にも
創作活動をなさっている方は多いと思います。
きっかけやモチベーションは
人それぞれかと思いますが
今回はWADAの場合を
チラ見してもらった、、ということで。

みなさんの創作活動のきっかけや
モチベーションはなんですか?
色々と報われたり報われなかったりな日々、
たまには思い返して、
自分の心の整理をするのも良いかもですよね。

ちなみに私はこれを書きながら
思い返してみたら
コンプレックスの置換え、
心理学の防衛機制でいうところの
“補償”だったのかなぁと気づきました。。。
(WADAはまんま“逃避”か、
よく言って“昇華”かなぁ。。。)

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