源氏の地に流れ着いて〜Kamakura 1
私の人生は凡そ自分の想像通りになりません。
思いもよらぬ地で
故郷より長い年月住んでいる事もその1つ。
思えばこれには不思議な予感はありました。
それは初めて見た大仏トンネルの
暗い穴の前でのことでした…。
仕事で転々とした私は二十年ほど前、
永井路子作の歴史小説『炎環』を読みました。
当時、小説舞台の隣街に住んでいた私は、
古の侍の都、鎌倉を訪ねたのです。
観光案内所で簡単なマップをもらって眺めると、
大仏、長谷観音、鶴岡八幡宮、銭洗弁天、と
ガイドブックの筆頭に上