ふり返ると 大切な人とコーヒーの風景
コーヒー飲む?・・・
この言葉が何度私の前に登場したか、
今となっては数えきれない。
最初は父が自慢のコーヒーカップを買った日。
小学生の私にいたずら半分に聞いた時だろう。
当時、家で飲むコーヒーはインスタント。
陶器作家の名前が入った新しいカップで
コーヒーを飲みながらジャズを聴くことが
安月給のサラリーマンには、
とびきりの日常の憩いだった。
子どもの私にとっても、
ジャズやラテンの音楽と一緒に
父が持つ象牙色のコーヒーカップから
深い香りと幾すじもの湯気が漂う