日本の友人たちに「今」伝えたい。感染拡大が止まらないニューヨークからのメッセージ。

(※)この記事は、2020年4月に日本で緊急事態宣言が発せられる数日前、不安でいっぱいの時間を過ごしている友人や大切な母国のことを想って書いたものです。『あのとき、あの想いで、この記事を書いた』ことの記録として残しておこうと思います。


こんにちは。群馬出身、NY在住のNaomiです。コロナウィルスの感染拡大がとどまらないニューヨークの実際の様子やこちらでは当たり前になっている対策をお伝えすることで誰かの役に立てるかもしれない、、、救える命があるかもしれない、、、そんな思いで、初めて note を書くことにしました。(きっと読みにくいと思います、ごめんなさい・・・)

1月末からずっと日本の様子も追いかけてきていますが、いまの日本を見ていると、まるで数週間前のニューヨークを思わせます。感染は広がってきているのに、このままで良いのか?具体的にどう行動すべきなのか? 情報も錯乱し、明確な行動指針もなく、不安だけが募るという方が多いんじゃないかと思います。(実際そういう話を日本の友人からたくさん聞いています。)

私は医師でも専門家でもないですが、感染拡大がとどまらないニューヨーク(=間違いなく日本の先をいっている)の実際の様子(※)や、こちらでは当たり前になっている対策をお伝えすることで、感染拡大を少しでも食いとめることができればと思います。ぜひNYの状況を参考にしていただき、1人1人が置かれた立場で最善の選択をしてください!
(※)実際の様子は、わたしが毎日NY州知事やトランプ大統領の記者会見から得る情報、自分自身や家族友人から実際に聞いた情報をもとに過剰記載しないよう気をつけて書いたつもりですが、まちがいやご指摘ございましたらどなたでもご連絡をお願いいたします

<主なトピック>
● ニューヨークの状況 
● 個人としてできること、すべきこと
●『医療崩壊』すると、どうなるのか・・・?
● 希望!

ニューヨークの状況

ニューヨーク州で最初の感染者が発表されたのは3月1日でした。それから一ヶ月で感染者数はなんと8万人を超え、昨日(4月1日)時点で確認できている死亡者は2,373人。書くのも辛いですが、わたしの直接の友人たちにも、感染してしまい今現在危篤状態という人たちがいます。わたしの自宅から15分以内にも感染者は報告されているだけで350人を超えるので、スーパーへ行くのも止めました。こんな状況下でも、まだまだピークには数週間は掛かるというのです、、、アンドリュー・クオモ州知事(コロナ騒動でファンになりました)が繰り返し言っていることがあります。「The virus has been always ahead of us.」「(コロナ)ウィルスは常にわたしたちの先をいっている」という意味です。だから、どんどん、どんどん対策を強化し続けていますが、ウイルスに追いつくことができていません。

でもここ1ヶ月ニューヨーカーが戦い続けてきてわかってきたこともあります。それは「Individual Responsibilities」と表現されていて、つまりは個々人の行動がとても大事ということです。これらはもう日本でも言われていることかなと思いますが、基本中の基本なので、記しておきたいと思います。

Social Distance (社会的距離)を徹底する
コロナ騒動が起きる前は聞いたこともない表現で、はじめは軽視していた人も多かったですが、今ではニューヨークの9割の人が徹底していると思います。具体的には、最低限 6フィート(約1.8メートル)人との物理的距離をおきます。スーパーに並ぶときも、宅配物が届いたときも、とにかく他人との距離を保つことでウィルスをもらわない、あげないようにします。これをとにかく実践してください!!!知っているだけでは無意味です(涙) ニューヨークでも死亡者が続出で大変なことになってきてからやっと、徹底され始めました。命をたくさん失う前に、とにかくみなさん実践してください!!!!!

Stay Home (自宅待機/ 自宅避難)
ニューヨーク州ではだいたい3月16日の週から学校が休校になり、その約1週間後に自宅待機令が出ました。これも、最初は軽視している人が多かったです。「不要不急でないかぎりは一緒に住んでいない家族も会ってはいけない」ということになっています。いやいや、家族くらい・・・と思う人も多いと思うのですが、みなさんご存知のとおり、コロナウィルス感染者全員が重症化するわけではないので、感染している自覚がなくて他人に移してしまうということが多く起きています。特に、若い人はあまり重症化しないと言われているのでリスクをとって出かける人も多く、私の知り合いの高校生で友人と出かけてコロナに感染してしまい、本人は軽傷だったけれど妹に移してしまって妹が重症化・・・というようなことも沢山起きています。「会いたい人に会いたい」「会えないなんてツライ」のはみんな同じ。でも、いまは、相手が大切だからこそぐっと!ぐっと!!! みんなで我慢するときなんだと思います。特に高齢の方や基礎疾患のある方は感染すると重症化してしまいやすいので・・・  

ニューヨークでは、上記に加えて 飲食店の閉鎖(ピックアップとデリバリーはOK) と、Non-Essential Businesses(生活に必要不可欠なビジネス以外)はオフィスではなく家で仕事をするよう発せられています。飲食店の閉鎖はかなりの衝撃と影響で、失業者も実質倒産者もたくさん出てしまっているし、私の友人たちも辛い思いをしている人がたくさんいますが、ここまできたら人命ファーストで仕方がないように思います。わたしも3月から収入は9割減ですが、本当に、こんなに多くの方の(地球上の人類全員の!)命がかかっている状況だから、お金の心配なんてしている場合ではないと感じます、、、(本当は色々心配はありますが、とにかく人命ファーストです!!!)

個人としてできることは、Social DistanceとStay Homeをとにかく徹底することだと思います。職場環境や住んでいる地域などによって、そうはいかないという人もいると思いますが、1人1人が置かれている状況で出来るだけ徹底することで、少しでも感染を食い止められるはずなのでがんばりましょう!

ちなみに・・・冒頭でも書いたように私の自宅から車での移動半径15分以内では350人以上の感染者が報告されています(昨日、4月1日時点)。Stay Home でも食糧調達はオーケーですが、みんな行けるのはスーパーくらいで感染された方が確実に来ていると思うので、スーパーに行くのももう止めました(涙)。お野菜やお肉もオンラインショッピング(アメリカは進んでいるのでありがたい)で注文しています。でも、注文したアイテムや郵便が届いても、段ボールや封筒にはすぐに触らないようにしています。米国保健省は、コロナウィルスは段ボールなら最大24時間、メタルなどの表面なら最大3日間生き残れるとしているので、大げさと思われるかもしれませんが、自分と家族の命を守るためにも、できるだけのことを実践しています。

医療崩壊すると、どうなるか・・・

『医療崩壊』の明確な定義はわかりませんが、ニューヨークは、少なくとも私が知人友人から聞いたり、クオモ州知事の記者会見で聞いたりしているかぎり、まちがいなく医療危機に扮しています。

ここまでくると、ふだんなら助かる命も、助からない状況、、、です。誰にでも怪我や病気をする可能性はあるので、これはコロナに関わらず全員にとっての危機で、本当に気をつけて生活をしています。

NYCでは今日、心臓発作で救急隊員を呼んだ場合ふだんならすぐにそこで応急措置をしてそれでもダメなら病院、となるところ、病院ではもう受け入れられないので病院へは運ばないというガイドラインを新しく加えました。病院は本当にパンパンなのです。(医療物資はマスクも人工呼吸器も本当に足りていません。友人の看護婦は同じマスクを数日つけて勤務しています) コロナ重症患者の方々が1日に何百人とお亡くなりになられて遺体安置が追いつかず、冷凍トラックを仮の遺体安置所としている病院もあります。連邦政府ペンタゴンは昨日(連邦政府なのでニューヨーク州ではなく米国全域が管轄ですが)ボディバッグと呼ばれる遺体収容用のバッグを100,000部用意し始めたとコンファームしました。(米国はコロナウィルスにより国内死亡者はミニマム100,000人という見解を数日前に示しました)コロナウィルスに感染しても、これだけ患者が多いと重症化するまでは病院で診てもらえません。病院で診てもらえることになっても感染予防の観点から付き添いはできません。最期の最期に愛する人の手も握れないなんて・・・。亡くなられた方々のお葬式もしっかり出来ずに辛い思いをしている人たちがたくさんいます。わたしの主人は、ふだん風邪をひいても1日で治るのに1月半ばに引いた風邪をこじらせてしまい、3月半ばにやっとテストを受けて幸い陰性だったのですが、ドクターが肺炎(コロナではなくて普通の?)を疑ってレントゲンオーダーしたところ、医療機関側からお断りされてしまいレントゲンさえ取ってもらえませんでした。コロナではないとしても、弱った状態で感染してしまったりしたら本当に危ないと思い必死で直しました(おかげさまで回復できました)が、医療を断られるという経験をして、「生きる」「生き延びる」ということを本気で意識して生活する日々が続いています。顎が外れてしまったのに今病院へ行くと感染が危ないからと、痛み止めと離乳食のような食事で2週間生活している友人もいます。先週赤ちゃんを出産した友人は、帝王切開にもかかわらず感染予防で翌日退院しました。

私の本職はキャリアカウンセラーだし、こんなふうに、日本を想って、子供たちを寝かしつけてから NY医療の実態を書き連ねているこの状況がクレイジーだと感じます。でも、いまはこれがNYの現実で、私にとっての現実で、日本もこのままだとこれが現実になってしまうかもしれない、、、 だから、政府や行政からの発令や指示を待たずに、個々人ができることはして徹底してやって欲しいと、思います。

さいごに、希望について、書いておきたいと思います。

日本のニュースでも『ニューヨークはゴーストタウン』のように暗く報道されているようですし、わたしも上記医療現場の様子など非常事態についてお伝えしましたが、日々の生活においては、生きることを意識しながらも、みんなすごく前向きに頑張っています! !!!!!こんなに長く家にいることなんてないから、この機会にこれまで出来なかったことに挑戦したり、お隣りさんと支えあったり。工夫してオンラインで繋がり、助けあったり。わたし個人的にも、こんなふうに緊急事態になってしまったからこそ見えてきたものがあり、人間の強さや温かさに触れて、いままでもきっとそこにあったのに気づいていなかった光を感じて感動しています。母国日本へも簡単に帰れなくなってしまい(ふるさと群馬県の活性活動に従事しているので、これがどれだけ辛いか分かってくれる友人も多いかな・・・)、4ヶ月の赤ちゃんもいるし、本当に大変な毎日だけれど、絶対に乗り越えて、また大好きな人たちと対面するんだって言い聞かせて、前を向いて頑張っています。

日本は、まだニューヨークほどの状況ではない。けれど、時間との勝負かもしれない。だからどうか、いま、今!!!! 1人1人ができる限りすべきことを徹底して、尊い命をできるだけ救ってください。ニューヨークから日本のためにできることがあれば、ぜひ教えてください。

【ご参考】インタビュー記事:東洋経済オンライン(4月2日付)
3日前にインタビューをお受けした内容が『東洋経済オンライン』に掲載されています。よろしければ合わせてご参考ください(↓ クリックできます)。
ニューヨーク「コロナ渦」直撃した都市のリアル