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day12 想いを研磨していく作業。

昨晩、寝る前にベランダを見たら、手摺に雪が積もり始めていた。
朝起きたら案の定、白銀の世界だった。

この季節、青い空が澄んでいて美しい。
白い雪や氷、霜がキラキラ輝いて、しばし目を奪われる。同時に体温も奪われるのだが。


今日は『はぐみ』の編集に1日を費やした。
zoomで仲間と個別に面談しながら、編集作業を進めていく。
メールやコメントなど、文章のやり取りだけでなく、こうしてオンラインでも顔を合わせて話せる時間、そのやり取りの声や表情、ちょっとした雑談が嬉しいのだ。
そしていまだに仲間同士でも初顔合わせの人たちがいて、不思議な気持ちになりつつも、繫がりが生まれる瞬間もまた楽しい。

執筆している人たちは、全員素人だ。
言ってしまえばわたしも素人なのだが、素人なりに5年もやっていたら、もはやそれは素人の領域にはないのかもしれない。

みんなの原稿を流し込む。
多すぎる文章を削り、読みやすく体裁を整えていく。その人らしさを消してしまわないよう、意識を乗り移らせるように作業する。
荒削りな言葉たちが、磨かれて美しさを纏っていく。ただの石を宝石に変えていくような、研磨とカットの作業だ。

わたしはこの作業が好きなんだなぁと、改めて思う。言葉は悪いが、ただただ長い文章だとしても、その中に伝えたい想いが光って見えて、わたしはそれに感動する。その感動があるからこそ、わたしは研磨したいと思えるのだ。


過去に、つまらないなぁと感じたことがあった。その人の華々しい経歴や、身に付けた知識をただ並べ立てただけの文章だ。

そんなときは、こう思う。

それで、あなたはどう感じたの?


体温のある言葉が好きだ。
体験したことそのものより、それを通して感じた『自分だけの言葉』は、何よりも美しさを放つ。どんなに荒削りでも、それは伝わるから。


今はぐみを共に創り上げている仲間たちは、みんな体温のある人たちだ。
誰かから借りてきた綺麗な言葉じゃなく、もどかしいほどに上手く伝えられない、混線したままの言葉たち。

わたしはそれを見るのが好きで、それを整えるのが好きで、それを届けるのが好きだ。
ひとことで言い表すなら、愛おしい。

勿論、執筆することも大好きだ。
自分の内なる想いを研磨してカットする。
紙媒体として編集するときは、改行位置にも気を配りながら、文字を整えていく。
たった1文字削るだけの作業にも、実はとても意識を使っているのだ。気づかれないくらいに細やかに。


今の仲間たちと一緒に制作するのは、これで最後。そう思ったら、みんなのページがキラキラと輝きを増したように感じる。
みんな、この2年なり1年なり、それぞれの想いを乗せて書いてきたよね。魂の輝きを見せてくれて、届けてくれて、ありがとう。


前身のはぐみ時代、わたしはどうも輪の中心に立っていない感覚があった。それは自ら中心に立つことを怖れて、誰かに明け渡していたのだと、今なら分かる。
そのくせ誰かのせいにして拗ねたりしていたのだから、たちが悪い。

今は、とても居心地が良い。自然と輪の中心に居られるような感覚がある。
この2年、決して良いことばかりではなかったけれど、一度闇を見たお陰で、光を感じることができるのだ。


もうすべての作業を終えたような口ぶりだけれど、実は自分の原稿はまだ1文字も書いていない。笑
今年から書き始めた小説のラストを書くことと、最後にもうひと記事執筆するつもりだ。

プロという基準が、いったい何処にあるのか分からない世の中。わたしはプロではないけれど、常にプロ意識を持って書き、編集している。少なくとも、デザインに関しては胸を張ってプロだと言えるけれど。


さぁ残り時間は少ない。最後の発行に向けて、やり切るとしよう。

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