ぺちゃんこいも

2022.1.ぺちゃんこいも

それは朝の慌ただしい豆餅作りの準備の時。
餅米を蒸すために薪で火を起こし、羽釜に入れたたっぷりの湯を沸騰させる。
蒸し器をセットし、蒸し始める。
せっかく火を起こすならと、さつまいもを灰の中へ入れておいた。
焼けたものから、竈門の横に置いていく。

あ!踏んじゃった!

横に避けておいたお芋は、見事にぺっちゃんこ。

黄色い中身がチラリと見える。
それは見事に、干し芋のように平になった。

なんだろう。
美味しそうではないか。

永子ちゃんの反射神経が良かったために、全体重が乗っかる前に、足が離れたために、完全に潰れずに済んだのである。

そうか、これはタルトタタンのようなものだ。

失敗から、美味しいものが生まれたりするのだ。

思わず踏んでぺちゃんこになったところ、それが思わずおいしかったために、ぺちゃんこ芋として地元のお菓子になったとさ。

といった具合に。

皮を剥いて食べてみた。
うん。美味しい焼き芋だった。

そのまんま、かぶりついてみても良かったかもしれない。

きっと、何気ないところから新しいものは生まれていたんだ。

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