戦争よ
2021.2.28 戦争よ
一人一人はきっといい人なのであろう。
その鎧を剥がし、一人一人として話したら。
しかしなぜ、起こってしまうのか。
私は友人のロシア人のことを思い出した。
とても優しいユーモアに溢れた人だった。
だからこういうことが起きたとき、ロシアは最悪だ、と人と国を全てまとめて否定するのはなんとなく忍びない気がしてしまうのだ。
ロシア国内の人は、誰がこれを望んでいるというのか。
反戦デモを見ても明らかだ。
”ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアやベラルーシで抗議が広がっている。ロシアではモスクワやサンクトペテルブルクなど複数の都市で反戦デモが起き、人権団体「OVDインフォ」によると28日朝までの拘束者数は5900人を超えた。ベラルーシでも反戦の動きが広がり、ウクライナへの軍事作戦に対する反発が強まっている。反戦デモは50を超える都市で起きた。”
日経新聞2/28より引用 ロシアで反戦デモ拡大 拘束者は5900人超す
集団という作用について考える。
それは、電車で病人が出た時だった。
病人がいます!
一人の男性が声を上げた。
その横には顔を青白くした女性がいた。
しかし、それに対して周りの人たちは、無だった。
車両の席には、びっちりと人が座っていたのに、声の一言もかけようとしないのだ。少し離れた私は声をかけに立ち上がった。だからといって何ができるわけでもないが、自分が同じ立場だったら、そういう人が一人でもいてくれたら安心できるからだ。
次の駅で降りますから大丈夫です。と返してくれた。そして、駅につき、ドアが開くと、二人で降りていった。
その後で、駅の職員が数人駆け込んできた。そして車内をキョロキョロしている。おそらく誰かが連絡を入れたのだろうと思い声をかけてみると、病人がいると連絡を受けたのですが、と言うではないか。
あちらに降りていきましたよ。
そう伝えると、その方向へと走って行った。
しかし、そのことでさえ、車両にいる人々は誰も反応しなかった。連絡を入れたであろう人でさえ。
私はとても寂しくなった。人がいるのに、いない感覚に襲われた。
連絡を入れたその人は素晴らしい優しさである。それならば、なぜそれを本人に教えてあげないのだろうか。そうしたら、降りてすぐ、駅員さんの力を借りられただろうに。
なんだかこれは、LINEが既読になったのに、すぐに返事が来ないからと怒っている、という現象に似ている気がした。
私も何度か言われたことがある。返事が遅いよねと。
しかしだ、そんなに急いでいるのなら、電話一本すれば良いだけの話である。
それと同じような感覚。
助けてあげたいのなら、直接一言伝えたら良いのに。
そこにリアルがないというか。匿名の世界というか。
しかし、きっとこの座席に座っている一人一人と話すと、みんないい人だと思うのだ。これが、車両の中で、病人と私、といった1対1や数人の場合は、また違うと思うのだ。
集団だからこそ、無になれる。
これはある種の、都会の病でもあると思う。
顔が見えなくなってしまったが故の。
これが高知だったら、こぞって世話を焼いてくれるだろうと想像した。