ステント留置患者さんに整形外科から処方されたSNRIについてトレーシングレポートで情報提供した症例

ステント留置3ヵ所の患者さん。原疾患は糖尿病、高血圧…
既往歴は脊柱管狭窄症で、数年前からOPを検討されていたのだけど・・・
ちょうどそのOPをそろそろって頃、来局時に胸の違和感を訴え気になり早急にかかりつけ(糖尿病専門クリニック)への受診を促し・・・
その結果、冠動脈の狭窄が進展している可能性を指摘され、かかりつけの糖尿病専門医師からの紹介でとある病院(過去ステント留置をした病院)の循環器へ。
過去すでに2ヵ所ステント留置されていたのだけど・・・
新たな冠動脈(番号は不明)の狭窄の疑いで、紹介後すぐに検査入院となり、3回目のステント留置となった。その後、エフィエントとバイアスピリンのDAPT治療となり、その1年後エフィエントのSAPT。
その後数年経過し、再び下肢の痛みとしびれが悪化し仕事にも影響があり整形外科へ。それまでもお痛みはあったのだけどなんとか我慢されていたが限界に・・・
過去にリリカ服用の際に吐き気が出現して服用継続できなかった旨を整形外科ドクターに伝えたため、サインバルタ投与となった。
リリカ投与された時は、私が患者さんと関わる前なので、投与量を把握していない(サインバルタ投与のため、あえてその時のリリカ投与量は今回確認していない。今後リリカ投与となる可能性もあるので、その時は確認が必要。この患者さんはeGFR45~55ml/minなので投与量を減量する事で吐き気は回避できる可能性があると考えるからだ。サインバルタが使えない際に検討すべきと思っている)
で~このサインバルタだけど・・・
20mg開始で服用2日後には、股関節の痛みが和らいできたらしい。
来年1月あたりには、OPを検討されているのだけど、なんとかそれまで少しでも痛みが和らいだら・・・
その後もサインバルタの効果で下肢痛や股関節痛が楽になっている。
予想以上の効果で良かった! それまでのお痛みがホントにおつらかったのだと思うと、なんとか早く楽になってもらって、お仕事がスムーズにできるように・・・
ただ・・・問題は~
エフィエントとSNRIとの併用!
セロトニンの血小板凝集促進作用を阻害する事により出血リスクが増える。
NSAIDs服用は、CKDG3aなので以前から控えて頂いてるのだけど、もしNSAIDsも併用されたら・・・ 
サインバルタの添付文書には併用注意で記載、エフィエントの添付文書にはとくに記載はされていない。
DOACやワルファリンの添付文書にはSSRIやSNRIの併用注意の記載がある。
とくにワルファリンとの併用だと、蛋白結合率の問題もあって・・・ほんとに注意が必要。
HAS-BLEDなんかも参考にすると~ 
CKDだと出血リスクは上がりますし、血圧コントール不良でもリスクは上がる。高齢者だとさらに!
カナダの研究者が急性心筋梗塞後の患者を対象として検討したところ、抗血小板薬とSSRIを併用した場合は、出血リスクが約1.5倍高まる事が明らかになった(CMAJ誌からー日経メディカルからの抜粋)
セロトニン再取り込み抑制作用の強さが異なるSSRIで、抗血小板薬併用時の出血リスクに、有意差はみられなかった。(日経メディカルからの抜粋)
出血リスク上昇も問題だけど、それだけではなく・・・
添付文書には血糖上昇の記載もあるが・・・
吐き気などの胃腸障害が出た場合は、むしろ低血糖のリスクもあると考えた。
ってな事を考えてトレーシングレポートを提出。
検査値は参考値ですのでご了承ください。

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