複数医療機関通院患者さんの副作用被疑薬をトレーシングレポートで報告した症例

現在、糖尿専門クリニック、とある病院の泌尿器科と皮膚科、それから整形、精神疾患でかかっている内科(精神疾患専門ではない)に通院されている患者さん。ポリファーマシーに違いないと想像できますよね。
過去にも、減薬提案をして2剤以上減薬になったのだけど・・・
精神疾患で通院している内科医師が、患者さんの訴えにすぐ薬を出してしまわれるので、せっかく減らしたのにまた増やして・・・ってな感じで、結局剤数変わらない・・・ いわゆる処方カスケード。
きっとふらつくよね・・・って思ってたら案の定ふらつきや夜間の転倒があり、服薬継続はとても危険なのですぐさま、処方元であるその精神疾患で通院している内科宛にトレーシングレポートで報告し、追加薬剤は中止となる・・・ みたいな。
 今回は、その情報提供ではなく・・・ 
とある病院の皮膚科処方薬が被疑薬なんですが、その前に~ 
毎回前置きが長くてすみません。なんとなくイメージがわいたらなぁ~って事で。
まず併用薬ですが、糖尿専門クリニックからの処方はGLP-1のみの処方。
整形からの処方は外用と芍薬甘草湯1包で、泌尿器や皮膚科通院以前からの継続(私が介入する前からの継続なので6年以上)
HbA1cは5.8%前後でコントロールされており、芍薬甘草湯による低カリウムや血圧上昇認めず、むしろ血圧が低くメトリジンを数ヶ月前まで服用。
精神疾患で通院されてる内科からの処方はレスリン・メイラックス・ハルシオン(エビリファイを過去服用継続されてたが、アカシジア疑いにより半年以上前に中止。血糖上昇はエビリファイによる可能性も否定できないが、エビリファイ中止による血糖低下を認めたかどうか判断が困難)
さぁ~ここからが本題です。
とある病院泌尿器科からの処方はベタニス50mg・トビエース4mgなのだが、投与開始時はザルティア5mgも併用。開始約3ヶ月で血圧低下を認めザルティア5mg中止となる(この際も処方元にトレーシングレポートにて情報提供し中止に至る)中止後血圧は上昇。
そして被疑薬の可能性高いと考えるとある病院皮膚科からの処方はテルビナフィン125mg。
テルビナフィン125mg開始は、泌尿器科処方の約3か月後から開始。
開始半年ほどは、処方元病院で採血されていたが、その後はご本人の希望で採血していない。ここにやはり問題があったと思われる。
この半年間は、肝機能障害など他にも薬剤性である副作用はとくに気にならなかった。おそらく処方元医師も半年間何も無かったので、テルビナフィン125mgによる肝機能障害は心配ないと考え、患者さんんのご希望通り、その後採血をされなかったのだろうと思われる。
ただ・・・ 糖尿病専門クリニックでは3ヶ月おきに採血と毎月検尿はされていたので、私はその採血結果をチェックしていた。だけど、気がつくのが遅かった・・・ というか被疑薬が何なのかよくわからなかった。併用薬が多すぎて、報告するにもどの薬剤なのか悩んでいた。テルビナフィン125mgの可能性が高いとは考えつつも、報告するにあたって、その根拠が必要になるし。
もう少し早く伝えるべきだったのだけど、考えが及ばなかった。
テルビナフィン125mg開始6~7ヶ月後の採血で、血小板数が低下。まだ基準値内ではあったから経過をみることに。その3ヶ月後にさらに低下し、基準値より低下。その6ヶ月後さらに低下していた。
この時点で、情報提供しておくべきだった。その翌月に泌尿器皮膚科受診となり、前回DO処方だった。テルビナフィン125mgが1年半以上継続になると正直思っていなかった。長くても1年くらいなのかと勝手に思っていたから、今回はテルビナフィン125mgは無しになるかな?なんて思ってしまっていた。いつまで、テルビナフィン125mg継続するのだろうか?
爪白癬は改善していると患者さんからは聞いていたし・・
糖尿患者さんだし、治療長くなるのは理解できるけど。
現時点で、血小板数が基準値より低下している((添付文書で禁忌)から、中止させるべきだった。その考えに至るまでに時間がかかってしまって、トレーシングレポートでの情報提供となってしまった。提供するなら、受診前にしておくべきだった案件。
反省すべき案件です。
では~実際のトレーシングレポートの内容です。

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