捕殺の心得

私の好きな作家のひとりである藤沢周平の小説『蝉しぐれ』のなかに、こんなシーンがでてきます。

蛇は文四郎の家とは反対側の、山岸の家との境にある小暗い竹やぶの中で見つかった。尾をつかんでやぶから引きずり出すと、蛇は反転して歯むかって来たが、文四郎は蛇を地面にたたきつけ、最後に頭を石でくだいてとどめを刺した。生殺しはいけないと教えられている

藤沢周平『蝉しぐれ』

『生殺しはいけない』

たしか初めて読んだのは高校生くらいだったかと思うのですが、なぜかこの部分が強く心に残りました。
おそらく武士の情け的なものにも通ずるものとして説かれているのかなとも思いますが、わたしの頭の片隅に染み付いたまま現在に至ります。

庭づくりにおいて虫をはじめとする生き物との関りは避けて通れない道です。が、プロフィールにも書いたとおり私は虫が大の大の苦手。

ちなみに虫が嫌いになったキッカケもハッキリ記憶に残っていて、4~5歳ごろに風呂場でクモ(Mサイズくらい)が指先から這い上がってきてからというもの、一気に虫嫌いになってしまいました。

そんなこんなで、花の季節は待ち遠しいけれども同じ時期に虫たちも一気に活動し始めるわけで毎年春は嬉しいと憂うつの板挟みの時季なのです。

なるべくなら殺したくないのが本音です。

でも、それが植物に害を与えたりするならやはり致し方がないというわけでそれこそこちらも息を殺して退治するのですが、その時にいつも思い浮かぶのが冒頭でご紹介した件なのです。
この部分が頭に残っているからなのかどうか、ゴキブリなど退治によほどの瞬発力を要するもの以外については殺虫スプレーを使うのが苦手です。
すぐに息の根を止められたらいいのですが苦し気にクネクネしているのを見ると罪悪感に苛まれてしまうので、一発でノックダウンできるうえに最期の姿が見えない形で捕殺するようにしています。

友人にこの話をしたところ、どちらにせよ息の根を止めるなら同じやんと言われたのですが...
それもそうなのですが...

誰かこの複雑な心情を分かってくれる人はいないでしょうか。
それとも時間をかけて付き合ううちに虫とも仲良くなれるんだろうか。

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