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坂城町まで。

日曜日の夕方、坂城町まで出かけた。
地元のワイナリー、坂城葡萄酒醸造に併設する
レストランで、久しぶりの一献だった。
しなの鉄道に揺られて30分。
坂城駅のホームに出れば、線路の向かいのガスタンクが、
里山に沈む陽の光を浴びている。
夕方の風も涼しくなって、Tシャツ一枚では
少し寒いほどだった。
線路沿いの小道を歩いて行くと、草むらで
虫たちが鳴いている。
白い犬を連れたおじさんと、黒い犬を連れた男の子が、
犬談義を終えて、別れて歩いて行った。
駅から10分、ぽつりぽつりと立ち並ぶ家屋を過ぎていくと、
レストランんにたどり着く。
カウンターに落ちついて、御無沙汰していますと、
久しぶりのご主人に挨拶をする。
スーパードライを飲んでいたら、しばらくして、
この地でぶどう栽培をしている友だちもやって来た。
歳を重ねて、もう洋食のフルコースなど食べきれない。
おつまみ程度の軽い料理で、今年の葡萄の出来具合なんぞを
うかがいながら、ワインを味わった。
隣の上田市に泊った翌朝、上田駅から電車に乗って、
別所温泉に出かけた。
お盆休みに行って以来、二週間ぶりの再訪だった。
駅を出て坂道を上がって行くと、老人ホームの敷地に
でかい百日紅が咲いている。高台の別所神社へ行くと、
眼下の清々しい緑がまぶしい。
晴天でも、日中の風に秋の気配が感じられるのだった。
天台宗の古刹、常楽寺の境内から
曹洞宗の古刹、安楽寺の境内へとまわり、北向き観音へ
行くと、参道沿いの店は、どこも閉まっている。
観光客の姿もなく、これじゃあ店を開けてもねえと
納得してしまった。
坂を下ってあいそめの湯に行くと、風呂場には地元の
おじいさんが5,6人いるだけだった。
昨日の坂城といい別所温泉といい、
季節の景色を眺めながら、程好い散歩ができる
こじんまりした処に来ると、気持ちがのんびりとする。
柔らかな湯で汗を流したら、昼どきの一杯に食堂へ向かった。
イカリングフライで生ビールを飲んでいたら、
隣のテーブルに、地元のおばちゃん二人組が座った。
じきに手提げバッグの中をガサゴソして、
お茶菓子にバナナを取り出した。
おにいちゃん、はいおすそ分けと言って、こちらに
バナナを一本くれたのだった。
恐縮してお礼を述べて、ありがたく頂だいした。
バナナを食べるのいつ以来だ?
思い出せないほどはるか昔のことだった。

葉境の季節名残のバナナかな。

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