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菜の花公園まで。

休日、菜の花を眺めに飯山へ出かけた。
毎年5月初めの恒例行事なのだった。
電車を降りたら、飯山駅の観光案内所で
クロスバイクをレンタルする。
菜の花公園までの7キロの道のりを、
のんびりペダルをこいで行く。
千曲川沿いの堤防道路を進んでいけば、
両脇の畑の木々から鳥のさえずりが聞こえる。
水のたまった田んぼから、のんびりとした
蛙の鳴く音が聞こえてくる。
心地よい風を感じながらたどり着くと、
ベンチに座って菜の花畑に見入る人に、
シートを広げてくつろぐ人に、連休中の
家族連れの姿が多い。
まさに、
今が見ごろの黄色の花畑のむこうには、
まだ緑の浅い里山があり、その隙間から、
残雪を抱えた彼方の山並みが顔を出している。
花畑から見下ろせば、おおらかな千曲川の
流れがある。
となりの東小学校の校庭では、運動着姿の
ちびっ子たちと先生が、わいわいと
走りまわっていた。
今年もまた、北信濃の穏やかな、
おそい春の景色に、癒されたのだった。
ひと回り、鮮やかな黄色の景色を堪能して、
ふたたびペダルをこいで行く。
国道沿いの道の駅にたくさんの車が停まり、
お客で賑わっている。
そのまま進んで、市街地に入ったら、
商店街にさっぱりと人の姿がない。
陽気なBGMだけが、むなしく鳴り響いていた。
飯山駅に戻ったら、
観光案内所にクロスバイクを返却して、
隣の、駅ナカ酒場えっぺにおじゃまする。
生ビールを飲みながら品書きを見たら、
飯山市はサバ缶の消費量が日本一と
書いてある。
へえそうなんだ。
きっと、根曲がり竹の出回る今ごろに、
いちばん消費されると見当がつく。
細い根曲がり竹とサバ缶を和えたみそ汁は、
北信濃の、この時期の名物なのだった。
レモンサワーを飲みながら、
サバカレーうどんで腹を満たして店を出た。
仏壇通りに並ぶ寺でも巡ってみるかと
思い立ち、歩きだしたら、
いきなりぽつぽつ降ってきた。
空を見上げたら、さっきまでの晴天に、
薄黒い雲が広がって、雨足がつよくなってきた。
寺巡りは次回とあきらめて、
ふたたび駅へ引き返したのだった。

菜畑に憩う親子や北信濃。

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