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懐かしの母校へ。

馴染みの飲み屋、豆腐とお酒・まほろばさんで、友だちの
浩ちゃんと酌み交わした翌々日、女将のあゆみさんから、
29日、浩ちゃんも大丈夫です!ご予約していただいても
いいですか?とラインが届いた。
29日・・・なんだっけ?酩酊していて、なにを約束
したのかさっぱり覚えてないのだった。
酔っているときの約束事は、たいていいつも記憶が
飛んでいて、これまでに友だちに迷惑をかけたことが
何度もあった。
申しわけない、29日、なんでしたっけと返したら、
須坂の鰻屋、た幸さんで昼酒を酌み交わそうと
なりましたと来た。
そうだった、そうだった。少し前に浩ちゃんが、
鰻屋で焼きたての鰻を食べたいとSNSでつぶやいて
いたのを受けて、話を持ち掛けたのだった。
早速た幸さんに予約の電話を入れた。
当日、権堂駅で待ち合わせをして、長野電鉄の
各駅停車の電車に乗った。
沿線の褪せた秋の景色を眺めながら須坂に着いて、
静かな住宅街を抜けていく。た幸さんの
ご主人夫婦にお二人を紹介して、カウンターに肩を
並べて、エビスで乾杯をした。
この店の鰻は脂が軽いから胃がもたれない。日本酒の
杯を重ねながら煮つけと白焼きとかば焼きを頂けば、
二人とも美味しいと喜んでくれて、連れてきた甲斐が
あったというものだった。腹を満たしてご主人夫婦に
見送られて店をあとにした。
店のすぐそばの墨坂神社に立ち寄って、
須坂の町が平和でありますよう、
た幸さんが長々の商いが出来ますよう手を合わせた。
あゆみさんはかつて須坂商業高校に通っていたという。
現在は、須坂園芸高校と合併して、そこの敷地で
須坂創成高校となっている。
神社を出て、母校の跡地へ行ってみると、
校舎はそのまま残っていて、養護学校として使われて
いた。学校の敷地の隣には須坂刑務所がある。
かつて友だちが世話になっていたなと思い出した。
天気の良い日曜日で、石畳の桜木町通りでは蚤の市が
開かれていて、ハロウィンのかっこをした子供たちが
飛び回っていた。
駅前に戻ると、イオンの前でイベントが開かれていて、
飲食店のブースが並び、音楽の演奏をしていた。
蚤の市もイベントも、盛り上がっているのかいないのか、
よくわからない雰囲気が、いかにも須坂っぽくて好いの
だった。
電車に乗って長野まで戻り、長野駅前の油屋で、
須坂詣での締めとしたことだった。

秋澄むや母校懐かし淑女かな。





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