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北向観音へ。

成人の日の祝日、上田の別所温泉に出かけた。
今年も北向観音へ足を運んだのだった。
別所線に乗りこむと、おなじくお参りに向かうかたが
たくさん乗っている。
冬枯れの塩田平を眺めながら30分揺られて行くと、
着物に袴姿のかわいい女の子がふたり、出迎えてくれた。
沿線の上田女子短期大学の学生さんが駅長を務めている
のだった。
駅を出て坂道を上がって行くと、先々に細いしめ縄が
ぶら下がっている。正月の余韻を感じながら、急な階段を下りて
参道を行って、階段を上がって観音堂にたどり着く。
境内の両脇に福飴と焼き栗の屋台が出ていて、お兄さんと
おじさんがお客を呼んでいた。
観音堂の内陣には、お祓いをお願いしたかたがずらっと
並んで座っている。じきにご住職が現れておごそかな読経が
響きはじめた。
上田の町が平和でありますように。手を合わせてお祈りした。
長野市の善光寺門前に住んでいる。来世の御利益を
頂ける善光寺と、現世の御利益を頂ける北向観音と、
今年も両詣りを果たせて好かったことだった。
お詣りを済ませたら、階段下の蕎麦屋、だるま家におじゃました。
以前初めておじゃまをしたときに、店を営むご主人夫婦の
感じが好かったのが印象に残っていた。小上がりの端っこの
座卓に落ちついて、ビールの栓を抜く。
この日は若い女の子がお運びをしていた。ご主人夫婦のお孫さん
かな。参拝を済ませたお客がたて続けに入ってきて、
お茶を出したり注文を聞いたり、はきはきと好く動いている。
長芋の千切りとつくねを二本つまみにして、ビールのあとに
塩田平の地酒、月吉野の燗酒をゆるゆると。
角の立ったもりで締めた。
会計のときにご主人に挨拶をしたら、この子が良く働いてくれて
助かるんですよと、隣の女の子を褒める。
お孫さんですかと尋ねたら、バイトの学生さんで、
沿線の長野大学に通っているという。
釣銭の小銭はこの子のバイト代に回してくださいと渡したら、
ありがとうございますと、にこにこ頭をさげられた。
ひと風呂浴びて帰ろうと、坂道を下って、駅のそばの
あいそめの湯へ行ったら、ここにも入り口に、長いしめ縄が
飾ってあった。地元のおじさんたちに混ざって、今年の
上田の初湯となったのだった。

初観音蕎麦屋の娘きびきびと。



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