見出し画像

夏盛る。

夜中、寝苦しくて目が覚めた。
夜になっても暑さが引かず、空気がよどんで
いるのだった。
窓を開けてしばらくしたら、いくらか風が入って
きたものの、浅い眠りのまま夜が明けた。
夏は暑くて当然だけど、今年の暑さは、いつになく
きびしい。歳をかさねて、体力が落ちたせいかと思ったら、
年下の友だちも夏バテになったり、ひと晩中エアコンを
つけていたりして、今年は暑いとこぼしている。
のどの渇きを潤すために、一日中つめたい物を口にしている。
昼間は麦茶にアイスキャンディー、
薄暮の時刻を迎えれば、ひと風呂浴びていそいそと、
やっこに枝豆くらいのつまみで、ビールに冷や酒を
酌んでいる。じめじめと暑さの残る夜は、
さっぱりとした焼酎を飲む機会が増えるのだった。
いちばん好きなのは、宮崎の柳田酒造の麦焼酎で、
爽やかな柑橘系の味が好い。氷を入れたグラスに
とくとく注いでは、野球中継を観ながらだらだらと
杯をかさね、早々につぶれている。
腹を冷やしてばかりいるから、胃腸の調子が
よろしくないのも、毎度のことだった。
早朝、寝汗で湿った寝間着を洗濯機に放りこんで、
短パンTシャツに着替えてウォーキングに出た。
氏神さんにお参りをして、北に向かって歩き出す。
夏休みになって善光寺界隈は、散歩をしている親子連れの姿が
目につく。
清泉女学院の前を過ぎて、城山動物園のアザラシの
声を聞きながら、招魂社の階段を上がり、
長野の町が平和でありますよう、拝殿に手を合わせる。
境内を出て、城山団地を抜けて、長野高校の五差路を
真っ直ぐに進んだら、檀田大通りへ右折する。
まっすぐ通りを下っていたら、なにやら腹の調子が
おかしくなってきた。
うっ、これはまずいぞ。自宅に戻りたいけれど、
ここから4キロ。とても持ちこたえられそうにない。
さてどうすると焦っていたら、ローソンの青い看板が見えた。
早足で、すぐにトイレに飛び込んだ。
いつもコンビニといえば、セブンイレブンばかりを
利用しているけれど、今朝ばかりは、
ローソンに救われたのだった。
事なきを得て自宅に戻り、すぐに整腸剤を飲んだ。
その日の午後、訪ねて来たかたが、手土産に、
米焼酎の小瓶を持ってきてくれた。
先日、出張で県外の町に行ったという。
ホテルを予約したときに、うっかりお酒付きのプランを
ぽちっとしたらしく、ホテルのチェックインのときに
プレゼントされたというのだった。
ふだん、一滴も酒を飲まないかただった。
こちらのためにぽちっとしてくれたようなもんですなと、
ありがたく頂だいした。

焼酎や氷継ぎ足し宵の果て。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?