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休日の上田で。

上田市立美術館に出かけた。
全国の美術系の大学で版画を学んでいる
学生たちの、作品展が開かれているのだった。
受付で、いちばん気に入った作品を記して投票箱に
入れてくださいと用紙を渡された。
会場には、各大学別に作品が並んでいる。
じっくり拝見しながら行くと、
思わず足を止めて見入った作品に、拝見したあとに、
気になってもういちど後戻りしてみた作品もあり、
作者の作品への意図を推し量ることはできない
けれど、それぞれの感性の奥行きの深さが伝わって
きた。どの作品にもそれぞれの個性があって
子供たちの力量のすごさに、ほとほと感心したの
だった。気持ちに留まったいくつかの作品の
中から、札幌大谷大学の佐藤寧音さんの、
「一様に間を見る」を選ばせていただいた。
雨の景色を彩った作品で、観ていると、作者の心根の
静けさが伝わってきた。
美術館をあとにして、買い物客で賑わう上田アリオの
中を抜けて、久しぶりに駅前の東都庵にお邪魔した。
女将さんと若女将さんに迎えられ、茸のおろし和えで
黒ラベルを飲めば、若い子の好い作品の余韻に、
清々と旨いのだった。
さつま揚げをつまみに地酒の和田龍を二合。
角が立った新蕎麦で締めた。
店を出て通りを歩いて行くと、広い空が厚い雲に
覆われている。通り沿いのコエダ時計店は、CDも
扱っているのか。いつも演歌歌手のポスターが店先に
飾ってある。この日は伍代夏子の「時の川」と
三山ひろしの「北海港節」と山内惠介の「THE BEST
24singles」だった。
桂旅館から上田高校の前を抜けて城跡公園に行くと、
冬枯れの公園に人影が少ない。真田神社でお参りを
すれば、社務所のお姉さんたちも暇を持て余していた。
時間つぶしに、再び上田アリオの映画館へ行き、
「ゴジラ‐1,0」の迫力ある映像におののいて外へ
出れば、アリオの入口に青いイルミネーションが
きれいに輝いていた。さて、今宵の一献は馴染みの
寿司屋の萬寿さんで。いそいそと出かけたら、
あいにく貸し切りの貼り紙があってふられた。
それではと踵を返して、久しぶりの花壱さんの暖簾を
くぐったのだった。

個々豊か若き摺師や冬の虹。










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