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上田の花火を。

8月5日、上田の花火大会に出かけた。
昔、上田に暮らすかたと付き合っていた。
14年前、はじめて目にした花火の
見事さに感動して、以来足を運んでいる。
あちこちの花火大会に出かけては、
素敵な写真を撮っている友だちと連れ立って、
電車に揺られて行く。
コロナのおかげで中止の年が続き、3年ぶりの開催だった。
ここ最近、ふたたび感染者が増えている。
今年も中止になっちゃうかと心配して、
毎日上田市観光課のホームページで確かめていた。
予定通りの開催はありがたいことだった。
駅を出てすぐそばの、千曲川の堤防道路へ上がっていく。
道路には、すでにカメラをつけた三脚がずらっと並んでいる。
よく見ると、2台3台と、ひとりで複数のカメラを
設置しているかたが多い。友だちに尋ねたら、
それぞれのカメラに、画角の異なるレンズをつけて
いるのだという。いちどに構図のちがう写真を撮るための
手段と合点がいった。友だちも足太の三脚に、
ソニーとキャノンのカメラを取り付けた。
打ち上げ時間になって、市長の挨拶が始まった。
上田市は、3年まえの台風で、別所線の赤い鉄橋が
崩落するなどの被害があった。
コロナ禍で町も活気を失う中、このたびの花火大会に向けて、
多くの企業がたくさんの協賛金をだしてくれたという。
おかげで、ギネス級の花火をお見せ出来ますというのだった。
挨拶に続いて、半月光る薄暮の空に、大輪の花が咲き始めると、
あちこちから歓声がわき、みんなこの日を待っていた。
上田の花火はテンポが好い。つぎつぎと間髪入れず打ちあがり、
そのたびに思わず声が出る。
打ち上げしている花火師は、長野の青木煙火さんに須坂の
篠原煙火さんに、上田の武舎煙火さん。
花火師さんも、コロナ禍でいろんなイベントが中止になって、
仕事に影響があったものとうかがえる。
この日の花火はほんとにギネス級の勢いで、
火薬をぜんぶつぎ込んじゃいますよと、
花火師さんの心意気が伝わってきた。
ラストを飾る大スターマインは花火師3社の合同で、
鮮やかな赤い模様は、
別所線の赤い鉄橋の復活を祝ってのものかと見惚れた。
息を飲む間もなく、最後の豪快な打ち上げへと続き、
あっという間の瞬間に、涙が出そうになった。
まだまだ先行き不安な中、上田の花火に元気を頂いた。
温かな余韻を抱えて、駅前の飲み屋へ向かったのだった。

また明日を思えるほどの花火かな。


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