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上田の花火大会。


毎年8月5日に、上田の花火大会に足を運んでいる。
千曲川の河川敷で、つぎつぎと上がる見事な花火を
堪能しているのだった。
今年は、東京に暮らす甥っ子夫婦も誘って
出かけることにした。
当日の昼間、上田駅から別所線に乗り換えて
別所温泉まで足を延ばした。住宅街を抜けていくと、
塩田平が見えてくる。
清々と広がる田畑の景色を見ていると、夏の暑さも
忘れそうになるのだった。
里山の空に、夏の雲が穏やかに沸いていた。
駅を出て、ひと気のない坂道を上がっていくと
汗が噴き出してくる。参道を抜けて北向観音への
階段を上がって行くと、作業服姿のお兄さんたちが、
盆踊りのやぐらを組み立てていた。
観音様にお参りをして、再び坂を下った。
甥っ子が、遅い昼飯にラーメンが食べたいという。
それではと、駅のそばの、あいそめの湯に向かった。
小さな温泉町は、週末でも混みあわないのが
好い。歳をしたら遠出をせずに、この地で湯を浴びながら
質素に暮らすのも、それはそれで贅沢なこと。
地元のおじいさんたちがうらやましいことだった。食堂で
3人でラーメンをつまみにビールを飲んで、湯に浸かり
汗を流したら、再び別所線に乗り込んで上田へ戻る。
薄暮の駅前にはすでに、花火見物の人たちが集まっている。
中には、自宅の前にイスとテーブルを出して、
バーベキューをやりながら観覧しようとする家族もいて、
長閑で好い。開始時間が近づくにつれて、
堤防道路が人で埋め尽くされてくる。それでも毎年人出に
余裕があって、川風を感じながら見物できるのも、
ここの花火の好いところだった。花火の開始を待つ間、
ずっとBGMで童謡が流れている。
いったい、このセンスのない選曲は誰がしているんだろうと
怪しむのも、毎年のことだった。
上田市の土屋市長の挨拶が終わり、いきなり一発目から
迫力あるスターマインが打ち上がり、花火大会が始まった。
上田の花火はテンポが好い。どんどん打ち上げられて、
あっという間に15分の中休み。
中休みの間、ずっとBGMで昭和歌謡が流れている。
いったい、このセンスのない選曲は誰がしているんだろうと
怪しむのも、毎年のことだった。
後半になると、花火がさらに迫力を増してくる。
毎年、地元の上田市と長野市と須坂市の花火会社が
打ち上げをしている。今年も、それぞれ見事な花火を
披露してくれて、ことに長野市の青木煙火さんの作品は、
例年にも増して素晴らしかった。
甥っ子夫婦も打ちあがるたびにすごいすごいと声をあげて
喜んでいる。
好い夏の思い出になったようで、嬉しいことだった。

花火師の腕に感嘆止まぬなり。







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