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夏も盛りに。

善光寺の御開帳が終了した。
数えで7年に一度の大行事は、コロナ禍の中、
一年延期をしての開催だった。毎回4月5月の2か月に
わたって開かれる。このたびは参拝客の密集を
避けるために、
6月まで延長して開かれていたのだった。ところが、
出だしの4月は客の姿がまことに少なく、
土産物屋のご主人が、御開帳とは思えないほど
しずかだよと、こぼすほどだった。
それがゴールデンウィークを境に混み始め、
終盤になるにつれ、平日でも週末のような混雑で、
結局ずいぶん密になっていた。
参道に人があふれ、参拝客の長い列ができ、
界隈の蕎麦屋は、どこも午後の3時を回っても、
お客の列が途切れなかった。
駐車場へ向かう車の渋滞が続き、うっかり愛車に乗って
買い物にでも出ようものなら、巻き込まれて
自宅にたどり着けない目にあうのだった。
連日、県外ナンバーの車や、大型バイクの集団を
眺めて、いっしょに救急車も頻繁に眺め、
暑いさなか体調をくずすかたもたくさんいたと
見受けられた。ようやくいつもの静けさが
門前町に戻り、ほっとしているのだった。
休日、かかりつけの整骨院で、腰痛の治療をしてもらい、
その足で権堂温泉に出かけた。午前中の温泉は、入浴客も
少なく、柔らかい湯でゆっくりと汗を流した。
休息室で缶酎ハイを飲んで、汗が引いたら、
ふたたび通りを上がっていく。
久しぶりの蕎麦屋の昼酒に、かどの大丸におじゃました。
店主の陽一朗さんが亡くなってから、
美人のお姉さんが、職人さんを使って店を守っている。
御開帳ご苦労様でしたと声をかければ、
陽一朗が元気だった前回よりはひまだったのよと
苦笑いを浮かべる。
野沢菜をつまみにキリンのラガーを飲んでいると、
御開帳の余韻のお客がぽちぽちと入ってくる。
いらっしゃいませ~。お好きなお席へど~ぞ~。
聞きなれたお姉さんの明るい声を聞いていると、
いつもの日常が戻ってきたのを実感するのだった。
真っ白なさらしなで締めてお勘定をすれば、
明日から3日間休業するという。
3か月分の疲れを、
よくよく癒していただきたいことだった。

大行事終えて迎える盛夏かな。

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