見出し画像

旺盛な食欲に。

休日、朝からばたばたと用事を済ませたら、
1時半を回っていた。
おそい昼酒をどこでやろうか思案しながら
通りを下っていったら、
おおきな通り沿いの、ロイヤルホストの看板が
目についた。たまにはファミレスもいいですな。
階段を上がって、笑顔のきれいなお姉さんに案内されて、
窓際の席に落ちついた。
フライドポテトとウインナーの盛り合わせに、
キリンのクラシックラガーを注文してしばし待つ。
眼下のとおりを眺めていると、車がひっきりなしに
行き来している。国産車に混じって、フランスや
ドイツの車が走っていく。見覚えのある緑色の幌の
ハトヤ酒店の車も通っていった。
古いヤマハのバイクが赤信号で停車した。
かっちょいいのお。車種はなんだろうと、サイドカバーの
文字に目を凝らしたけれど、小さすぎてわからない。
しばらくしたら、歩道に黄色い帽子のちびっ子たちが、
やってきた。近くの鍋屋田小学校の生徒だった。
近ごろは、登下校の時に保護者の姿もある。
若いお母さんが、にこにこと子供と話しながら
付き添っていた。目の前の席にはさっきから、60代後半とおぼしき、
太った松山千春みたいなおじさんと、40代ほどの女性が座っていた。
おじさんの声が大きくて、いやでも話が聞こえてきて、
夫婦ではないけれど、濃厚な関係と察しがついたのだった。
お待たせしましたと、二人に届いた料理を見たら、
サラダやライスと一緒に、おじさんの前に厚切りのステーキが
置かれた。あの量を食べるんだ、すごいねえと眺めてしまった。
ビールを飲みながら、見るともなしに見ていれば、
会話を絶やすことなく、わしわしと肉を口に運び、
ライスをおかわりして、すっかりたいらげて、
しばらくしたら、再びメニューをめくりだす。
店員さんを呼んだと思ったら、
ハンバーグとライスを注文したものだから、
ビールを吹き出しそうになった。
おっさん、まだ食うの!思わず突っ込みそうになる。
さらにチョコレートパフェも注文したから、
その顔でチョコレートパフェはないでしょ!
またまた突っ込みそうになった。
年下の女性と付き合うには、でかい声を出す元気と、
あれだけの食欲がないとだめなんだなあ。
晩酌で、豆腐ときゅうりとトマトだけの身は、ほとほと
恐れ入ったのだった。

日盛りやステーキなんて食えませぬ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?