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出直し金読本012 金保有の目安

 金はどれくらい持つのが妥当でしょうか、と聞かれることがあります。その問いについては、財産の1割、せいぜい2割と答えることにしています。とはいえ、必ずしもその割合に明快な根拠があるわけではありません。あえて根拠らしきものを求めるとすれば、世界の中央銀行の外貨準備に占める金準備の割合が平均すると1割程度になる、というあたりでしょうか。

 さらにもう一つ理由を探すとすれば、金は「万一のために備える保険」のようなものだからです。利息も産まなければ配当もつきません。保有割合を高めすぎると、どうしても価格動向に目が向きがちになります。しかし、日々の値動きなどを気にしていては、安心の種であるはずの金保有が心配の種になってしまいかねません。これでは本末転倒です。金読本の指針としては、やはり財産の1割、多くても2割が基準になります。ゆっくり時間をかけてそこへ近づけるのが良いでしょう。

 それでも世の中には、もっと保有したいと考える猛者もいらっしゃるようで。何年も前のことですが、4割から5割くらい持ちたいのだが良いだろうか、という声が届いたことがあります。ここまで来ると、人それぞれの考え方なので自分自身で判断した方がよろしいかと思います。

 ただ、これだけは云えそうです。4割持ちたいとか5割持ちたいという人は、将来への不安がそれだけ大きいということです。不信感ばかり募らせても人生を楽しめませんけれど、なぜか概して、ゴールド・バグ(熱狂的な金好き)は、世の中に対する不信感が強く、金を多く持ちたがる傾向にあります。金の保有割合に対する考え方や処し方は、そのまま自分自身の世の中に対する不信度を測る物差しになると覚えておくと良いかも知れません。

 そもそも肝心の金の評価額のもとになる金価格からして、日々上がったり下がったりしています。金の保有割合については、あまり神経質にならない方が精神衛生上も良いのではないでしょうか。

 なお、財産のなかに現在お住まいの自宅を入れてはなりません。たしかに法的には住まいも財産としてみなされますが、それはあくまでも生きて行く上での拠点であって、財産とみなすべきものではないはずだからです。目安は金融資産の1割〜2割と覚えておきましょう。

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