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出直し金読本010 10年は保有

 短期の利益を追うのか、資産の保全を考えるのか。どちらを求めるかによって、金との付き合い方には大きな違いが生まれてきます。

 あくまでも短期の利益を追いたいというのであれば、わざわざ金地金や金貨といった現物を売り買いするのはヤボというもので、金先物=将来の金価格を売り買いすればよいことです。それなら投資資金の何倍もの取引ができますから、予測が当たれば儲けはドンと大きくなります。ただし予想が外れれば損失も一気にふくらみます。良きにつけ悪しきにつけ、金先物はハイリスク・ハイリターンであることをしっかり認識しておくことが必要です。

 なおかつ日本国内の金価格は円建てですから、金そのものの価格変動だけでなく、ドル円為替相場の変動も受けます。明日の金価格を予測するの容易ではありません。そうなると本来リスクを回避したり緩和するための金保有が、かえってリスクを呼び込んでしまうことになります。

 この「出直し金読本」はそういう立場には立っていません。金は、外見は派手でも役目は地味、という立場です。「金は将来の万一に備えるための資産」と考えていますから、もし金と付き合うのであれば、金地金や金貨などの現物を、少なくとも10年は保有するつもりで買うことです。

 そう構えていれば日々の値動きに一喜一憂することもありません。10年保有を想定すれば、結果として長く寝かせて大丈夫な資金しか充てられないことにもなります。昨今、将来の受給額が減少するであろう年金の足しにしたいという理由から、コツコツ金を買っている人が増えているようですが、それくらい控え目なペースが金には相応しいでしょう。

 もっといえば頻繁に売ったり買ったりを繰り返せば、手数料もかさみます。必要以上に税金もかかります。税金のことは別の機会にお話ししますが、長期保有は税金面で優遇されるメリットもあります。

 困ったことがない限り金は売らない。バブル化しないかぎり金は売らない。それが金取引、金保有の基本と考えてください。


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