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Dalton教育と学校施設見学<その1>

このマガジンでは、オランダにあるDalton小学校を学校見学させていただいた時のことをまとめています。

今回は学校施設を見学させていただいた中で、校長先生に教えていただいたDalton教育のこと、そして私が見て感じたDalton教育についてお伝えします。


Dalton教育のはじまり

Dalton教育は、日本語では「ドルトン(プラン)教育」や「ダルトン(プラン)教育」と呼ばれる教育で、今から100年前ほどにアメリカで生まれたそうです。オランダにあるDalton小学校はそこまで多くはありませんが、私が住んでいるデン・ハーグには小学校だけでなく高校もあります。

日本にもDalton教育の学校はいくつかあるようですが、その数はとても限られています。

"国際色豊かなこの小学校"

学校における人種の割合についてネガティブな表現を使う人もいますが、校長のアネットさんは「この学校は国際色が豊かな学校です」と紹介してくれました。それはつまり、オランダ国籍ではない生徒や、母国語がオランダ語ではない家庭の子どもが多く在籍するというという意味です。オランダの小学校では特別な理由がない限り、学習言語を「オランダ語」とする訳ですが、この学習言語が異なる生徒児童の学習環境を整えるのはとても大変なことであると理解できます。

Dalton教育が目指すもの

この小学校の学校HPにも書かれていますが、Dalton教育では、
・責任感
・セルフモチベーション
・自立する力
・他者と協力する力

を軸にして教育を実践すると書かれています。

どこにもありそうなこれらの言葉ですが、Dalton教育ではその特色とも言える教育法を用いて子どもたちにこれらのスキルを身につけるための教育を行なっているようです。

日直の生徒が教室を清掃していた

さて、日本では当たり前の「掃除」ですが、オランダでは児童生徒が学校を定期的に掃除するようなことがあまり一般的ではありません。例えば、娘が通う小学校では夜の8時頃になると外部の清掃員が来て校内を掃除してくれています。児童生徒がが校内を清掃するようなことはほとんどありません。

約束の時間に学校を訪れると、groep5(小学校3年生程度)の生徒3名が教室内を清掃していました。ゴミ袋を入れ替え、翌日見るための予定をホワイトボードに貼ったり、書いたりしています。

「Dalton教育では、自主性や責任感を育てることを大切にしている部分もあって、日直にあたる子どもたちはこうやって放課後に教室整備をします。今日は水曜日で一般の生徒は12:30が下校だけど、この子たちは日直に当たっているので、保護者には15分程度遅れて迎えに来てもらうように言ってあります。こうやって毎日、教室で役割を回しています」

そこにいる担任の先生と楽しく話をしながら教室整備をしている3人の生徒たち。教室にある教具についても説明してくれました。

生徒の机に見た「サイコロ」

彼らの教室を見渡すと、そこには4人1グループになった状態の机が並んでいました。そして、1人1つのサイコロがありました。

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このサイコロをどのように使っているかは次の記事で書きたいと思いますが。ここにもこの学校がこだわっている教育法があると感じました。

このサイコロの使い方は日本の教育の中でも実践できるものだと思うので、次回の記事で詳しく書きたいと思います!

「何を学ぶか、いつ学ぶか、どうやって学ぶか」を自分で決める

教室にいた生徒が見せてくれたのは、生徒一人ひとりが持つ学習予定表。
もちろん、「何を学んでも良い部分」と「学ぶべき部分」はきちんと線引きがされているようですが、この学習予定表は担任との話し合いのもと進められるそうです。

生徒が英語で説明してくれたところ、細かいことは理解できなかったのですが、左から順に、<教科・学ぶべきこと>があらかじめ書かれていて、右の欄では、自分がどのようにその学ぶべきことを計画し、達成していくかを書くようになっていました。

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また、自分がなすべきことを判断しやすいよう、
月曜日→赤
火曜日→水色
水曜日→オレンジ
木曜日→緑
金曜日→黄色
と色分けをして計画していくようです。

印象的だったのは、この表にイエナプランが発祥の「ワールドオリエンテーション」という言葉があったことでした。オランダではこのように「他の教育法の良いと思ったところを取り入れる」ということがとても多くあります。Dalton教育だからイエナプランの何かをしてはいけないというようなことがここにもないんだな。ということを感じました。

「学校の好きな場所で学んでいい」という個別学習の時間

「コロナの影響で生徒に自由を与えにくくはなっていますが、個別学習として設けられた時間には、校内のどこで学習をしても構いません」

そう言われて見渡した教室の後方には、複数名の生徒が壁を向いて学習できる学習スペースが確保されていました。

他にも、学校の共用スペースとされるところで学習しても構いません。

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クラスとして使われていない部屋も学習スペースとして利用しても構わないそうです。

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「もちろん、始業と終業のベルが鳴らないこの学校で、自分の好きな場所で学習するということは、タイムマネジメントも必要になります。時計を見て学んだりすることに最初はなかなか慣れませんが、習慣をつけていくことでだんだん出来るようになっていきます。このスタイルは卒業までずっと変わりませんからね」

子どもたちに学習習慣を身につけるように促すことはとても大変ではあるけれど、それは日々の繰り返しの中で時間をかけて身につけていくもの。それを教職員は見守り育てていく。校長先生の眼差しはそんな風に語りかけてくれているように見えました。

ドラマ教育、宿題、校長が目指す理想の学校などを次回に!

次の記事では、学校見学をして見えたこのDalton小学校の特徴をもう少しご紹介したいと思います!

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